スカウトが語った「希少性」 仙台育英・仁田陽翔が5連続含む13Kで発進 輝く才能の現在地

[ 2023年3月4日 23:22 ]

練習試合   仙台育英4―0神戸弘陵 ( 2023年3月4日    神戸弘陵グラウンド )

昨年12月にプロ志望を表明した仁田(撮影・柳内 遼平)
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 昨夏、東北勢で初めて甲子園優勝を果たした仙台育英(宮城)は、神戸市で練習試合2試合を行った。神港学園に4―2、神戸弘陵に4―0と投手陣が躍動し連勝。18日開幕の選抜に向けて順調なスタートを切った。

 主力選手が出場した2試合目。神戸弘陵(兵庫)戦で先発したプロ注目の左腕・仁田陽翔(2年)は、7回を123球の熱投で1安打無失点。自己最速にあと1キロに迫る146キロの直球と、鋭いスライダーを軸に5連続を含む13三振を奪った。

 「体の切れがいつもより良かったです。相手の打線が変化球に対応できていないと思ったので(三振の)狙い目だと思いました」

 面白いように「K」が並ぶ奪三振ショーを演じたが「本番」だけに照準を合わせている。この日は6四球と制球面の課題も出た。選抜開幕まで2週間。試合後には「体の切れが良いからこそ、抜け球があって慎重になってしまった。そこで足の上げる高さがちょっと低くなって頭が突っ込むようになってしまった」と冷静に自己分析した。

 一方で、須江航監督は「これ(荒れ球)も良さです。野球においてストライクゾーンの中で荒れることが最強だと思っています。球質は抜けている。ホークアイとかトラックマンで(数値を)測ったら別格ですから」と“持ち味”を語った。安定感のある右腕・高橋煌稀、東北大会で先発として結果を残した右腕・湯田統真がいる中、他の投手にない武器を持つ仁田の存在は「アクセント」になっている。

 この日、視察した楽天・愛敬尚史アマスカウトグループマネジャーは「真っすぐが強いしスライダーも切れる。ポテンシャルが高いので非常に楽しみ。三振が取れる左投手は少ない。(昨年に比べて)カウントが苦しくなっても粘れるようになった。狙って三振が取れるようになってきましたね」と高評価した。

 そして、仁田の投球スタイルに着目。「多彩な球種で三振を取る。そういう投手は結構いるんです。でも真っすぐとスライダーの2球種で三振を取れる投手はなかなかいない。そこはやっぱり魅力的ですよ。これで上の舞台(大学、社会人、プロ)でさらに何かを覚えたら…と思っちゃいますね」と将来性を評価した。

 連覇を懸けて2度目の甲子園に挑む仁田。「調子は少しずつ上がってきているので選抜ではもっと良い投球ができるように頑張ります。去年の夏とは気持ちの面でも技術面でも全然変わったと思います」。いつものように表情を変えずに言ったが、瞳は自信にあふれていた。(柳内 遼平)
 
 ◇仁田 陽翔(にた・はると)2005年(平17)6月10日生まれ、岩手県大船渡市出身の17歳。猪川小3年から野球を始め、大船渡一中では軟式野球部に所属。仙台育英では1年春からベンチ入り。50メートル走6秒4。遠投100メートル。憧れの選手はロッテ・佐々木朗。好きな言葉は「平常心」。1メートル75、74キロ。左投げ左打ち。

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2023年3月4日のニュース