阪神・佐藤輝 新打法で23年1号!「反応で打った」西純のフォークをバックスクリーンへ

[ 2023年2月10日 05:15 ]

シート打撃で中越え本塁打を放った佐藤輝(撮影・大森 寛明)
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 新打法で23年1号!阪神・佐藤輝明内野手(23)が沖縄・宜野座キャンプ第3クール初日の9日、シート打撃で、西純が投じた144キロのフォークをバックスクリーンへ運んだ。昨秋、岡田監督から指導を受け、高々と掲げていたグリップの位置を顔の高さまで下げた新フォームで放った今春初本塁打。試行錯誤が続く中でも、きっちりと快音を響かせた。

 佐藤輝は「反応で打った」と言った。狙っていたのは、西純自慢の、力のある重いストレート。初球が152キロ、2球目は145キロのツーシーム。直球系が続く中で、恐らく頭になかったであろう鋭く落ちるフォークを本能で拾った。宜野座の空に高々と舞った打球は、失速することなく、122メートル表示の中堅フェンスを越えた。

 「うまいこと拾えたのかなと思います。入ったのでよかった」
 捕手の真後ろから前かがみで見守っていた岡田監督も、佐藤輝が打った瞬間に体を起こした。「シーズンで打ちたいやろな。今打ってもなあ。はっきり言うて」と“もったいない”と言わんばかり。それも愛弟子の進歩を実感するからこそだ。

 「そら自信になってると思うよ。あのボールを対応できるんやから。150キロとか(続く中)、初めてでよう打ち返すよな。オレらの時はそんなん無理やで、こんな時期に」

 昨秋からの進化が際立つ。岡田監督は昨年の秋季練習から安芸キャンプにかけ、高々とバットのグリップを掲げ、振り下ろすように投球にアジャストする打撃フォームの修正を命じた。両足のスタンスも広げるよう注文を付け、昨冬から今春にかけての宿題とした。染みついたメカニズムを一新させることは、並大抵のことではなかったはずだ。

 それでも若虎は試行錯誤と改良を重ねてきた。グリップを顔の高さまで下げ、スタンスも広げてドッシリと地面に根を生やした。今キャンプの日頃のティー打撃でも、意識付けを欠かさない。寝かせたバットを左肩にポンポンと当ててから振り始める。新フォームの確立により、投球を「点」ではなく「線」で捉えることが可能となった。佐藤輝自身も手応えを感じており「体の近くからしっかりと(バットを)出せるのは利点」。生まれ変わった23歳。3年目の飛躍へと向かう。

 「もっと細かいところをやっていきたい。監督、コーチと話しながらやっていきたい」

 今季も20本塁打以上を放てば、昨季の自身の記録を更新する「左打者では史上初の新人から3年連続20本塁打」となる。右打者を含めても過去5人しかいない快挙すら「通過点」と早くも思わせるほど、背番号8の成長速度が日々増している。(八木 勇磨)

 【視察した他球団も警戒】佐藤輝の豪快なアーチに、視察に訪れた他球団の“007”も目を丸くした。

 宿敵・巨人の樽見チーム戦略室主任は「昨季は三振も少なくなり、大崩れしなくなった。ポイントを前にした打ち方ができれば、本塁打も増える。手ごわい。(中軸は)厄介」と警報を発令。3月31日の開幕戦でぶつかるDeNAの新沼アナリストは「あの打球を打てるのは彼の一番の売り。1人で複数点を取れる能力を持っている。間違いなく警戒しないといけない」。特に走者を置いた場面での長打に早くも警戒心を強めた。

 昨季のリーグ覇者・ヤクルトの石堂スコアラーは「投手の調整が上がってきたときの直球を、どう捉えるか」と今後も注視する方針を示した。

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2023年2月10日のニュース