退任する日大三・小倉監督に帝京・前田名誉監督が「我々は野球を忘れちゃダメ」と惜別の辞

[ 2023年2月10日 15:55 ]

日大三ナインに今春限りの退任を伝えた小倉監督
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 【伊藤幸男の一期一会】2度の全国制覇など歴代9位タイの甲子園通算37勝を挙げた日大三・小倉全由監督(65)が今年3月限りで退任する。幾多の名勝負を繰り広げてきた帝京の前田三夫名誉監督(73)が38年間の指導者生活を慰労しつつ「我々は野球を忘れないで大事にしていこう」と言葉を掛けた。

 01年夏、11年夏の優勝を含め甲子園出場22度を誇る小倉監督だが、一番印象に残っているのは関東一の監督として初めて聖地に挑んだ85年夏だったという。同年夏の東東京大会決勝で帝京を12―5で撃破。「打倒帝京」を掲げたチームは当時、帝京ベンチへガッツポーズを繰り返したが、昨年12月東京都高野連が開催した指導者研修会の場でその“無礼”に改めて謝罪した。

 前田名誉監督は38年前の出来事を思い出しつつ昨夜、小倉監督に電話を掛けたという。「当時はぶつかり合いでしたよ。でも本当にいい勝負ができたと思いますよ」と話すと、タイプの違うチームを作り上げながら、敬意を表していたことも明かした。「小倉君は選手を大事にしてきたからね。選手あっての監督として毎年いいチームをつくってきたし、いいライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)できたと思うよ」

 だからこそ一昨年秋、金田優哉監督(37)にバトンを託した名誉監督は小倉監督に優しく語りかけた。「我々は野球を忘れちゃダメだよ。互いに野球の人生を歩んできたんだから。(監督は)辞めたけど、たまにはグラウンドのいい空気を吸いながら、選手たちのいい刺激になるるように見届けよう。私も極力グラウンドに行くから」

 日大三は小倉監督を26年間支えた三木有造部長(48)が後任監督として指揮を執る。名将は現場を去っても、脈々と受け継がれた教えを次代の指導者が受け継ぎ、再び道を切り開いていく。
 

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2023年2月10日のニュース