阪神・岡田新監督 選手の動きをよく観察 かける言葉はシンプルに 2度目の監督就任、大山にかける期待

[ 2022年10月18日 07:00 ]

05年6月3日、金本敬遠後に怒りの勝ち越し3ランを放った今岡
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 【連載・岡田の考え(3)】岡田彰布監督は選手との間に一線を引く。チームとして同じ目標に向かっていっても、監督と選手では立場が違う。そして選手はグラウンド内外での監督の動きを実は気にしている。選手1人に声をかけたら、かけられなかった何人もが「こっちには声がかからなかったな」と思う。そんな世界だ。

 大山悠輔はあくまで「大山」。「悠輔」とは呼ばない。声をかけなくとも、日々の動き、態度、表情はしっかり見ている。変化に気づく。それが岡田流のコミュニケーション。そして、かける言葉はシンプルだ。野村克也監督時代、今岡誠(現真訪)は「覇気がない」などの理由で出番は与えられなかった。2軍降格中、バント練習をしていたときに、2軍監督だった岡田はストップをかけた。「バットでメシを食うんやろ。バント練習して、どないするんや」――。切れかかっていた今岡の気持ちは、ここで踏みとどまった。

 星野仙一監督時代の03年のリーグ優勝時は1番打者として首位打者のタイトルを獲得した今岡に、岡田はポイントゲッターを期待した。05年に金本知憲のあとの5番を任せた。求められる役割が変われば、目指す打撃も違ってくる。打率を捨て、打点に集中した。それが自分の仕事だと割り切った。05年6月3日のロッテとの交流戦(甲子園)では同点で迎えた7回1死二塁で金本が敬遠四球されると、怒りの決勝3ラン。岡田も「気合が入るわな。ああいう敬遠をされたら」と闘志を認めた。同年10月5日の横浜戦(甲子園)では藤村富美男を超え、プロ野球歴代3位となる147打点をマーク。文句なしのタイトルに輝いた。

 2度目の監督就任となった岡田に、この今岡とイメージが重なるのは大山に違いない。今季は開幕7番スタートで、3番から7番まで5通りの打順をこなした。ポジションも一塁、三塁、左翼、右翼でスタメンを経験。9月13日の広島戦では左翼→右翼→左翼と試合の中で動いた。

 大山の力を最大限に発揮させるために、何に集中させるべきか。就任会見で岡田は「大山と佐藤輝はクリーンアップを打たないといけない選手。その選手がスーパーサブではあかん。大山が一塁で佐藤輝が三塁。全試合代えない。代走も出さない。打てるように新しい大山を作らないと」と方針を示した。勝負強さを発揮させるために、決断は曲げない。=敬称略=(鈴木 光)

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2022年10月18日のニュース