阪神・藤浪 先発でメジャー挑戦「自分らしくパワーピッチングで押し切れたら」大谷との再戦「うれしい」

[ 2022年10月18日 05:15 ]

球団がポスティングシステム利用を容認したことを受け会見した藤浪
Photo By 代表撮影

 阪神の藤浪晋太郎投手(28)が17日、今オフにポスティングシステムを利用してメジャーリーグに挑戦することが正式に決まった。この日、球団が同システムでの申請を容認したことを発表。また、大物代理人のスコット・ボラス氏との契約も判明した。夢の舞台へ一歩前進した右腕は、日本でもこだわってきた「先発」として勝負をかける意向を口にし、米球界も評価する高身長や160キロ超の直球を武器に真っ向勝負を思い描いた。

 10年前のプロ入り時以来というみずみずしい思いが、藤浪の胸に一気に広がった。

 「プロに入る時以来の挑戦。一つ上のレベルに飛び込むというのはプロ入団の時以来だと思うので、不安と高鳴り、両方あります」

 昨年の契約更改の席で初めて球団側に思いを伝え、シーズン終了後にあらためて話し合い、正式に容認された。「“世界最高峰の所で勝負してみたい”という思いを球団がくみ取ってくださった。自分としては“だめもと”。それを快く頑張ってこいよ、と背中を押してもらった」。

 夢へのチャレンジを尊重してくれた球団への感謝が口をついて出た。海外フリーエージェント(FA)権の取得を待たずして、ポスティングシステムを利用しての挑戦。賛否もある中で、「年齢的にも20代後半になってきてますし、若いうちに挑戦できたら」と胸中を吐露した。

 躍動するイメージもできている。交渉で重要視する点について問われると「その立場じゃない」と前置きした上で「希望としては先発をやりたい」とこだわりも明かし「基本的にメジャー契約とは思っています」とあくまで最高峰のマウンドでスターターとして腕を振ることを目指す。

 「(武器になるのは)スプリット、真っすぐを100マイル近く投げられるのもありますし。タテ系の変化がある。長身、身長っていうのも評価してもらってる要素であるそうなので」。1メートル97センチから投げ下ろす最速162キロの直球と、150キロに迫るスプリットで屈強な打者をなで斬る。「力勝負できるのはすごい楽しみではあるので、自分らしくパワーピッチングで押し切れたら」と早くも闘志をたぎらせた。

 ポスティングシステムの申請は11月1日からスタート。ここからは“テーブルの上”が舞台となるが、多くの高額契約を成立させてきた代理人のスコット・ボラス氏と契約したことも、この日までに判明。“剛腕”の存在もメジャーリーガー藤浪の誕生を後押しする。

 高校時代からライバルと称されてきた同学年のエンゼルス・大谷との再戦には「自分としてもうれしいし、楽しみにしてくれる方もいる」とうなずいた。数え切れない刺激と興奮が海の向こうで待っている。(遠藤 礼)

 ◇藤浪 晋太郎(ふじなみ・しんたろう)1994年(平6)4月12日生まれ、大阪府出身の28歳。大阪桐蔭では3年時にエースとして史上7校目の甲子園春夏連覇を達成。12年ドラフト1位で阪神入り。1年目から先発に定着し、15年まで3年連続2桁勝利をマーク。20年10月19日ヤクルト戦で球団最速の162キロを計測。21、22年は開幕投手を務めた。17年WBC日本代表。1メートル97、98キロ。右投げ右打ち。

 ≪代理人は〝米屈指の剛腕〟スコット・ボラス氏≫ ▽スコット・ボラス氏とは 74~77年にマイナーリーグで内野手としてプレーした後、弁護士資格を取得して代理人に転身。シャーザー(メッツ)、ソト(パドレス)、コール(ヤンキース)ら多くの大物を顧客に抱えている。日本人選手のポスティングでは06年オフに西武・松坂大輔の代理人として、レッドソックス移籍の際に入札額と合わせ、約1億ドル(当時約130億円)の巨額契約を勝ち取った。他にも数々の記録的な大型契約を結んでおり、00年にはマリナーズのアレックス・ロドリゲスを当時のプロスポーツ史上最高額となる総額2億5200万ドル(当時約290億円)でレンジャーズに移籍させている。

 ▽ポスティングシステム 海外FA権の取得前に大リーグに移籍する制度。現在は以前のように入札ではなく、獲得希望の全球団と交渉ができる。大リーグ側に申請し、米30球団に通知された原則翌日から交渉が可能。今年の申請手続き期間は11月1日から12月15日まで。交渉期間は昨年までの30日間から45日間に拡大された。日本球団への譲渡金は選手が契約で保証される額により変動する。なお交渉期間内に契約合意がなかった場合、翌年の申請開始日までポスティングの再申請はできない。

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2022年10月18日のニュース