【スポニチスカウト部(34)】東京ガス・益田 ヤクルト村上斬り最速153キロ腕

[ 2022年10月18日 05:45 ]

最速153キロ右腕の東京ガス・益田
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第34回は東京ガスの最速153キロ右腕・益田武尚投手(24)。北九州市大時代に指名漏れも経験した男は、その悔しさを糧として大きく成長し、ドラフト1位候補として10・20を待つ。

 プロ野球史を塗り替えた偉大な打者にも真っ向勝負を演じた。8日。東京ガスはCSファイナルSを控えていたヤクルトと練習試合を行った。無観客の神宮で先発した益田は、初回に日本選手最多の56本塁打を放ち、令和初の3冠王にも輝いた4番・村上、5番・オスナをともに148キロの直球で連続三振。3回を4安打1失点で3三振を奪った。

 「高めのストレートの威力が自分の持ち味。日本球界を代表するバッターを押していけたので自信になった」

 20日のドラフト会議に向けて最高のラストスパートだった。北九州市大時代は指名漏れを経験した最速153キロ右腕を、11球団22人のスカウトが視察。「不作」といわれる今回ドラフト候補の中で数少ない「即戦力投手」と評される益田が、練習試合ながらリーグ王者相手に力を発揮した。最速149キロを計測した直球にスライダー、カットボール、カーブ、フォークを織り交ぜる変幻自在な投球を披露。楽天の後関昌彦スカウト部長は「カットボールと落ちる球が良かった。“プロでは先発で”というタイプ。1位指名の可能性もある」と高く評価した。

 20年ドラフトで屈辱の指名漏れ。その2日後には素質を見抜いていた山口太輔監督が直々に福岡を訪れ、進路が未定だった益田を口説いた。関東屈指の名門での再出発を決断。腕を磨いた。1年目の21年に初の都市対抗優勝に貢献。ドラフト指名が解禁となる今年は「1位指名候補」となるまでに実力を高めた。

 山口監督の説得がなければ教師の道を考えていた益田は「全国大会を経験していない、公立大学のポンコツに声を掛けてもらった。プロに行きたい気持ちはずっとある」と力を込める。運命の10・20。2年前は開かなかったプロの扉をこじ開ける。(柳内 遼平)
 =終わり=

 《憧れのチームメート臼井とプロ入り狙う》憧れの存在とともにプロ入りを狙う。チームメートの臼井=写真=は28歳のベテランながら益田と同じくプロ志望。昨年都市対抗でMVPにあたる橋戸賞に輝いた最速154キロ右腕で先輩の背中を追い続けてきた益田は「社会人投手の中で一番凄いと思っている。あの人がプロに行かなくて誰が行くんだというぐらい」と言う。ヤクルト戦で救援登板した臼井は3回を3安打無失点で4奪三振。プロ相手にもベテランらしい冷静な投球だった。

 ☆球歴 小4で野球を始める。嘉穂(福岡)時代は最速145キロを投げて注目されるも甲子園出場はなし。北九州市大では1年春からベンチ入りし、リーグ通算33試合で12勝9敗、防御率2.55。

 ☆好物 福岡のうどん。大学卒業後に上京。都会の生活に「慣れるまでに時間がかかった」という。1年目には北九州の人気チェーン店「資(すけ)さんうどん」を通販で注文し「本当においしかった」と故郷の味でホームシックに立ち向かった。

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