JR西日本・石黒佑弥 石川昂擁する東邦を破った151キロ右腕 “プロ切符”待つ「かかったらラッキー」

[ 2022年10月18日 06:00 ]

捲土重来(けんどちょうらい)を期すJR西日本・石黒佑弥

 【連載 10・20運命のドラフト会議 逸材ファイル<中>】3年前のドラフトで3球団が競合した選抜優勝投手の高校野球を終わらせた男が今年、ドラフト戦線に躍り出る。複数球団から調査書を受け取った最速151キロ右腕のJR西日本・石黒佑弥(21)は、静かに運命の瞬間を待つ。

 「人生の運命が変わる。緊張しますけど、運もあると思うので、かかったらラッキーだなと思って待ちます」

 一躍、その名を上げたのは19年夏の愛知大会2回戦だった。星城のエースとして石川昂弥(現中日)を擁する東邦と激突。下馬評では圧倒的に東邦有利だったが、投げては3失点完投、打っては3ランと投打に躍動して8回コールド勝ちの主役を張った。「やれることをやろう、と開き直った結果が良いように転びました」。この活躍が、JR西日本入社への道を開いた。

 社会人の3年間でも順調な成長曲線を描いた。入社1年目から湧川雄貴投手コーチと二人三脚でつくり上げたフォームが成長の礎だ。投球時、トップを早めにつくることで制球が安定。加えて体重を約10キロ増量したことが相乗効果を生み出し、高校時代から最速も5キロ更新した。「どういう使い方をすれば、どういうふうになるのか、自分の体の感覚がわかってきた。修正力もついた」。今夏の都市対抗1回戦・四国銀行戦では7回途中2失点。まだ21歳と若く、伸びしろもたっぷりだ。

 シーズンオフなどにはJR可部線の下祇園駅で駅員業務に従事する。ICカードの使い方などの案内で感謝されることに喜びも感じる。だから目標は「ファンから愛される、応援される選手」。最速1秒を切るクイックの速さも持ち味の本格派右腕。ライバルの待つプロの世界を見据える。(北野 将市)

 ▼DeNA吉見祐治スカウト 一番の魅力はキレのある直球。社会人の3年間で良くなった。フォークがもっと使えるようになれば幅が広がる。クイックの速さもあり、タイミングもとりづらい。

 ◇石黒 佑弥(いしぐろ・ゆうや)2001年(平13)6月20日生まれ、愛知県江南市出身の21歳。藤里小1年から藤里スポーツ少年団パワーズで野球を始め、宮田中では軟式野球部に所属。星城(愛知)では1年春からベンチ入りし2年秋からエース。甲子園出場はなし。JR西日本では3年目から主戦となり、22年都市対抗で2試合に先発。1メートル80、82キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2022年10月18日のニュース