大阪桐蔭、春夏連覇の夢散る…異様な雰囲気の9回、前田が逆転痛打

[ 2022年8月19日 04:07 ]

第104回全国高校野球選手権第12日・準々決勝   大阪桐蔭4―5下関国際 ( 2022年8月18日    甲子園 )

<大阪桐蔭・下関国際>下関国際に敗れ、号泣する前田(手前中央)、松尾(中央奥)ら大阪桐蔭ナイン(撮影・坂田 高浩)
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 大阪桐蔭は7回の攻撃で三重殺を喫するなどかみ合わず、下関国際に9回逆転で敗れ、春夏連覇への道を断たれた。仙台育英は7年ぶり、聖光学院は福島県勢として51年ぶりの4強入りを決め、準決勝では初の東北勢対決が実現した。

 偉業への夢は、はかなく散った。3度目の春夏連覇、史上2校目の秋春夏制覇へ挑戦した優勝候補大本命の大阪桐蔭が夏の準々決勝では7度目にして初めて敗れた。逆転で1点差に泣き、主将の星子天真は“魔物”の存在を認めざるを得なかった。

 「手拍子がすごくて、のまれそうになるというか……。投手に声をかけられなかったのが申し訳ないと思います」

 4―3の9回表。先頭打者を迎えると、下関国際のブラスバンドに合わせ、観客の大音量の手拍子が鳴り響いた。球場全体が逆転劇を期待するかのような異様な雰囲気。「2年生四天王」の左腕・前田悠伍は連打と犠打で1死二、三塁を招き、頭上をゴロで越される逆転打を浴びた。

 裏の攻撃前にはベンチ前で円陣を組み、星子が「やってきたことは間違いじゃない。信じてやろう」と反撃へ気勢を上げても、一度傾いた流れは、もう戻っては来ない。4番・丸山一喜から打者3人が12球で倒れ、無情の幕切れを迎えた。

 7回無死一、二塁の攻撃では大前圭右のバントが投飛。スタートを切っていた2走者が戻りきれず、夏の甲子園大会では同校初の三重殺を喫した。初回の2点先制を含めて、計3度も先行しながら、普段のように突き放せなかったことも最後に響いた。

 登板がなかった背番号1の川原嗣貴は顔をくしゃくしゃにして号泣し、今秋ドラフト1位候補の松尾汐恩は「ごめん、俺のせいで」と何度も謝った。前田もうつむいたまま、あふれる涙を止めることができない。西谷浩一監督は「大阪桐蔭の歴史の中で、たくさんのものを残してくれた学年。勝ちに結びつけられなかったのは監督の責任」と受け止めた。同校初の秋春制覇を成し遂げたことも揺るぎない事実。「束になって、泥くさく」の合言葉と高校4冠への夢は後輩たちに託した。(北野 将市)

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2022年8月19日のニュース