日本ハム・アルカンタラ　痛恨見落とし…逆転狙った2ランスクイズは同点止まり

パ・リーグ   日本ハム1―2楽天 （ 2022年8月18日    札幌D ）

＜日・楽＞7回、ベンチに下がるアルカンタラ（右）と選手交代を告げる新庄監督（撮影・高橋茂夫）
Photo By スポニチ

　同点に追いつきながら、日本ハム・新庄監督はベンチで頭を抱えていた。「弱いチームが強いチームに勝つには、ああいう作戦で逆転しないとね」。試合後に指摘したシーンは1点を追う7回だ。

　先頭・中島の内野安打からつかんだ1死二、三塁の好機。ここで新庄監督が打席の松本剛に意表を突く2ランスクイズのサインを送る。一塁方向への絶妙な投犠打で中島が還る。しかし、肝心の二塁走者のアルカンタラは三塁で止まった。

　まさかのサイン見落とし。新庄監督は「サインはバリバリ、2ランスクイズ」と明かした上で「（アルカンタラは）三塁の手前でスピードを緩めていたから、サインを分かっていなかったと思う」と話した。「来年も日本でプレーしたければ、そういうところをしっかりしてもらわないと。いい選手なんですから」とぴしゃり。処理したブセニッツは一度も走者を確認せず、ゆっくりと一塁送球しただけに成功の可能性はあった。

　チャンスを得点にする作戦の種は、あちこちに転がっている。例えばこの日、試合前にテレビで目にした夏の甲子園準々決勝の下関国際―大阪桐蔭戦。大阪桐蔭が7回無死一、二塁で走者を走らせ、打者がバントする作戦を試みた結果、投飛で三重殺を食らった場面について「普通のバントじゃなかった。投手と一塁の間に強くしにいったんじゃないかな」と見通した上で「大好き、ああいうの。成功していたら作戦成功ですよ」と絶賛した。

　「ああいうのを見ていたら凄いメモする。プロだからそれをしたら恥ずかしいとか、僕にはない。参考になるところは少年野球でも、中学野球でも」

　18年夏の甲子園では金足農が2ランスクイズで逆転サヨナラ勝ちした名場面が残る。この日の“甲子園作戦”は失敗し、惜敗して自力でのCS進出の可能性が消滅したが、新庄監督は前を向く。「来年はさらに6個くらい増えるから、サインがトータルで37個。大変だわ。でもね、そうやっていかないと勝てないから」。奇策を駆使して1点を奪うビッグボス野球は多過ぎるサインが難点になる時もあるが、ミスを減らして勝機をつかむ。