仙台育英・斎藤蓉が15人“串刺し”5回零封4強 実家が焼き鳥店左腕「自分の良さ最大限出せた」

[ 2022年8月19日 04:02 ]

第104回全国高校野球選手権第12日・準々決勝   仙台育英6―2愛工大名電 ( 2022年8月18日    甲子園 )

<仙台育英・愛工大名電>仙台育英の先発・斎藤蓉(撮影・坂田 高浩)
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 準々決勝4試合が行われ、ベスト4が出そろった。仙台育英(宮城)は斎藤蓉(よう)投手(3年)が、今大会初先発で5回1安打無失点の好投。愛工大名電(愛知)を6―2で下し、7年ぶりの4強入りを果たした。また、聖光学院(福島)は九州学院(熊本)を10―5で下し、福島県勢としては71年の磐城以来となる51年ぶりの4強進出。両校は20日、準決勝では初めての東北勢対決を迎える。

 甲子園の銀傘を雨が叩き、試合開始は46分遅れた。それでも先発左腕・斎藤蓉は「自分のピッチングを」と焦らない。荒天がウソのように晴れ渡り、背番号10はマウンドで腕をしならせた。

 「マウンドに立った人がエースという考えでやっている。自分の良さを最大限出せたので良かったです」

 左打者が6人並ぶ愛工大名電。須江航監督は「シュートする真っすぐの球質と外のカットボール。左右の攻めが有効になる」と最速145キロ左腕に先発を託した。7月上旬に左肘を痛めて宮城大会は登板ゼロだったが、分析は見事に的中した。

 スライダーを軸に5三振を奪うなど4回まで無安打投球。5回先頭に右前打も、次打者を遊ゴロ併殺打に斬った。結局5回を1安打1死球、2併殺を奪う「15人斬り」で無失点。2回戦は5人、3回戦は4人の継投だったが、この日は2番手のエース左腕・古川翼(3年)が最後まで投げ、2人で2失点で逃げ切った。「日程が詰まるので日本一を獲るとなったら今日は2人」と指揮官。春夏通じ東北勢初優勝は視界に入っている。

 山形出身の斎藤蓉。両親は鶴岡市で焼き鳥店「ととこ」を営み、幼稚園時代から皿洗いに励んだ。常連客だった城北ホワイトイーグルスの関係者が、左利きの少年に目をつけて、カウンター越しに父・俊二さん(44)を口説いた。小2から白球を追い、午前4時起きで行う壁当ての音で店長の母・夏子さん(45)を起こすほど、野球にのめり込んだ。

 店の看板メニュー「庄内鴨」を幼少期から食べ続け、1メートル73、74キロのがっちりとした体に成長。「タンパク質が豊富で体づくりに適していて、とてもおいしい」と「我が家の味」に感謝する。

 140キロ超え5人の鉄壁投手陣の一員として、準優勝した15年以来7年ぶりの4強に導き「一戦一戦大事に戦っていきたい」。悲願まではあと2勝だ。(柳内 遼平)

 ◇斎藤 蓉(さいとう・よう)2004年(平16)4月17日生まれ、山形県鶴岡市出身の18歳。小2から城北ホワイトイーグルスで野球を始める。鶴岡四中では酒田リトルシニアに所属。仙台育英では2年春からベンチ入り。特技はルービックキューブ。50メートル走6秒2。遠投120メートル。1メートル73、74キロ。左投げ左打ち。

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