下関国際、大阪桐蔭を破り初4強!7回三重殺で流れつかみ9回に賀谷が決勝2点適時打

[ 2022年8月19日 04:08 ]

第104回全国高校野球選手権第12日・準々決勝   下関国際5―4大阪桐蔭 ( 2022年8月18日    甲子園 )

<大阪桐蔭・下関国際> 9回1死二、三塁、下関国際・賀谷は逆転の中前2点適時打を放つ (撮影・後藤 大輝)
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 絶対王者を破る大金星だ。下関国際(山口)が準々決勝で大阪桐蔭と対戦し、5―4で逆転勝ちした。「3番・遊撃」で先発した仲井慎内野手(3年)が6回途中から好救援。7回には投飛で三重殺を完成させるなど3回1/3を無失点に抑えた。昨秋の明治神宮大会から全国大会負けなしで、史上3度目の春夏甲子園連覇を狙った強豪を撃破。同校初の4強進出で、20日の準決勝では選抜準優勝の近江(滋賀)と対戦する。

 魔物か。それとも王者の焦りか。歓声、悲鳴、驚嘆が、ない交ぜになって銀傘に響いた。3―4の7回無死一、二塁。下関国際守備陣にビッグプレーが飛び出した。大阪桐蔭・大前圭右(3年)のバントは投前への小飛球。仲井慎(3年)が素早く二塁へ転送し、スタートを切っていた二塁、一塁走者を1―6―4で仕留めた。夏の甲子園では9年ぶりの三重殺が、勝利の女神を振り向かせた。

 「大きく流れを変えるプレーになったと思います」と坂原秀尚監督。接戦に持ち込んだ狙い通りの展開が、王者の焦りを生んだ。きっかけになったのは、2番手でマウンドに上がった背番号6の仲井だった。3―4と勝ち越され、なおも2死満塁の6回、遊撃からマウンドへ。「これ以上、点をやったら逆転できない」と相手4番を空振り三振に仕留めて、雄叫びを上げた。7回も素早い身のこなしで三重殺を完成。「あそこで一気に流れがこっちに来た」。最速147キロの直球を軸に無失点救援して、流れを引き寄せた。

 1点を追う9回は、先頭からの連打など1死二、三塁。4番・賀谷勇斗(3年)が、中前に逆転の2点適時打を放った。同点の5回の一塁守備では落球し、勝ち越し点を与えていた。ベンチでは「最後に絶対にチャンスでお前のところで回すから」と声をかけられ、土壇場で名誉挽回だ。

 ベンチ入り18人は全て3年生。4年前の18年夏の8強を見て入学した世代だった。寮生活では「甲子園の準々決勝は強豪と当たる。大阪桐蔭を意識してやろう」が合言葉。史上初の3度目の春夏連覇、昨秋の明治神宮大会を含めた全国3冠を目指した大阪桐蔭に、全国大会11戦目で初めて黒星をつけた。全国の強豪校が目標にし、願ってやまなかった勝利。指揮官も「笑われるかもしれないが、ここを目指して頑張ってきた。本当にうれしい」と目を潤ませた。

 坂原監督の05年の就任当初からの信条は「弱者が強者に勝つ」。大学まで現役を続けたがエリートではなく「力がない選手だった」というのが理由で、選手にも日頃から伝えていた。初めての4強進出。準決勝では山田陽翔(はると=3年)擁する近江と対戦する。山口県勢では、85年の宇部商以来となる夏の決勝進出も、見えてきた。(杉浦 友樹)

 ▽下関国際 山口県下関市の私立高校。1964年(昭39)創立で、全校生徒544人。野球部の創部は65年で、17年夏に甲子園初出場。夏は今回が3度目の出場で、これまでの最高成績は18年夏のベスト8だった。春は2度の出場で未勝利。部員74人。OBには14年ドラフト6位でロッテ入りした宮崎敦次(現広島打撃投手)がいる。

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