ソフトB田上「夢みたい」155キロ&零封デビュー 球団OBの叔父秀則氏ら見守る中「毎回全力でいった」

[ 2022年4月13日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク0ー3ロッテ ( 2022年4月12日    長崎 )

<ソ・ロ>ソフトバンク先発の田上(撮影・中村 達也)
Photo By スポニチ

 堂々のデビュー!ソフトバンクの2年目右腕、田上奏大投手(19)が12日、ロッテ戦でプロ初登板初先発し、6回途中2安打無失点と先発の役目を果たした。勝敗は付かなかったが、最速155キロの直球を披露するなど大器の片りんを見せた。試合は0―0の9回に失策がらみで3失点し競り負け。打線は30イニング連続無得点に終わり、チームは今季初の連敗を喫した。

 長崎まで駆けつけた家族が見守る中、田上は大きな拍手を送られた。6回1死二塁、藤原を中飛に抑えたところで降板。プロ初登板初先発で初勝利はならなかったが、5回2/3を2安打無失点。スタンドからの拍手はしばらく鳴りやまなかった。

 「凄い先輩たちと野球ができて、観客もいて夢みたいな光景だった。ずっと楽しかったです。(続投したいという気持ちは)あったけど、津森さんも抑えてくれた。自分はあそこまでだったと思う」

 初回に先頭を四球で出したが、1死二塁で対した中村奨の初球に自己最速を1キロ更新する155キロをマークした。最後は三ゴロに仕留めてピンチを脱すると波に乗る。4回にはレアードから初三振を奪い、5回にはマーティンを見逃し三振に料理。強打者にも堂々と立ち向かった。「初回は緊張でしんどかったけど、毎回全力でいきました」。75球を無我夢中で投げた。

 スタンドで見守った母・由香さん(43)への恩返しを誓ったマウンドだった。高校2年の冬、女手ひとつで育ててくれた由香さんが乳がんの診断を受けた。「絶対プロ野球選手になる。楽させてやるから」と支えていく覚悟を固めた。高校3年春から投手に挑戦し、20年のドラフト5位で入団した。

 じっくり時間をかけて育てる球団方針から昨年11月に育成契約となったが、周囲の予想を超えるスピードで成長。4月7日に支配下選手登録された。由香さんは「奏大の野球を見られるから“長生きするぞ”ってなりました」と頼もしく育った息子から力をもらっている。

 試合には小久保2軍監督も応援に駆けつけるなど、大きな期待を寄せられている。藤本監督は「あれだけ投げてくれるとは思わなかった」と絶賛。今後は一度、登録抹消される予定だが、指揮官は再びチャンスを与えると明言した。

 「(家族に)良いところを見せられて良かったし、満点くらいの投球」と田上。無限の可能性を秘めた19歳が力強くプロの第一歩を刻んだ。(福井 亮太)

 ◇田上 奏大(たのうえ・そうた)2002年(平14)11月26日生まれ、大阪府大阪市出身の19歳。小2から「バイキングジュニア」で野球を始め、投手兼外野手。住之江中時代は「西成ボーイズ」でプレー。履正社では1年秋から外野手としてベンチ入りし、2年春、夏と3年夏の交流試合で甲子園出場。ソフトバンクなどで捕手として活躍した大産大付(大阪)の田上秀則監督は叔父にあたる。1メートル85、88キロ。右投げ左打ち。

 《球団OBの叔父・秀則氏現地観戦「自分が出るより緊張」》田上の叔父にあたる球団OBで捕手として活躍した田上秀則氏(現大産大付監督)がスタンドで観戦した。映像などでプロでの成長をチェックしており、「自分が試合に出るより倍くらい緊張します。打たれるのも勉強だし、抑えられたらラッキーだというくらいで」と話していた。試合中はおいのマウンドさばきを頼もしそうに見つめていた。

続きを表示

この記事のフォト

2022年4月13日のニュース