日本ハム・新庄監督の理想 走れる4番・松本剛が今季初連勝呼んだ 3安打2盗塁、目下リーグ“4冠”

[ 2022年4月13日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム3―0西武 ( 2022年4月12日    ベルーナD )

<西・日>新庄監督(左)とハイタッチする松本剛(撮影・尾崎 有希)
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 日本ハムは12日、西武戦で今季初の完封勝利をマークし、開幕から15試合目で初の連勝を記録。新庄剛志監督(50)が誕生を熱望していた「走れる4番」である松本剛外野手(28)が3安打に2盗塁を決めるなど勝利に大きく貢献した。打率・419、7盗塁はリーグトップを独走。17年に自身初めて規定打席に到達しながら以降は低迷している男が、一度は手が届きかけたレギュラーの座を自分のものにする。

 打てて、守れて、さらに走れる。こんな頼もしい4番はいない。松本剛が先制打を含む今季2度目の猛打賞に2盗塁。打率、盗塁だけでなく、安打数(18)、得点圏打率(・750)もリーグトップだ。新庄監督は取材対応はなく「松本君に聞いてあげて」と広報に伝言を託した。それだけの活躍だった。

 「(新庄監督が求める走れる4番は)イメージしていた人と違うと思いますけど。意識せずに“あ、4番だ”くらいの気楽な感じでいかしてもらっている。気負うこともない」

 今季3度目の4番出場で初回から役割を果たした。1死二、三塁から左腕・佐藤の甘いスライダーを左前に運ぶ先制打。4回に右前打、6回は四球、8回は中前打と全4打席で出塁し「こういう投手なら、こう打とう、とかイメージしながら打席に入れている」と分析する。これで4番では11打数7安打で打率は驚異の・636だ。

 新庄監督は当初、チームトップの俊足を誇る五十幡を4番候補としていたが、腰の手術で離脱したため「走れる4番構想」は一度は白紙となっていた。指揮官は5日に取材に応じた際に松本剛について「今は一番光っている」と評価し「松本君みたいな子が2人、3人、4人と出てきた時、チームのレベルが上がる」と期待していた。松本剛は打撃はもちろん、この日も2盗塁とアピール。先頭で出塁した4回は直後に二盗を決め、その後に生還して追加点を生んだ。

 初の規定打席に到達するなどレギュラーをつかみかけた17年の6盗塁が自己最多だった男が15試合目で早くも7盗塁。理由は何か。松本剛は「ビッグボスのおかげ」と言う。今季は基本的に盗塁のサインは走者の判断で自由にスタートできる「グリーンライト」ではなく、指揮官が配球を読んで盗塁を指示。選手には「失敗してもベンチの責任。思い切っていけ」と伝えている。50メートル6秒1の走力がありながら盗塁数が増えなかった松本剛も「(気持ちに)余裕が生まれる」と感謝する。

 杉谷と同じ帝京OBながら対照的に控えめな性格で表に出ることは少なかった松本剛。今季初の連勝、そして敵地初勝利などで満足することはない。プロ11年目の苦労人が、「新庄チルドレン」として輝きを増している。(東尾 洋樹)

 《元祖大谷キラー》松本剛は「元祖大谷キラー」だ。エンゼルス・大谷は花巻東2年時だった11年夏の帝京1回戦で甲子園デビュー。4回途中から登板し、最初に対戦したのが1学年上の4番・松本剛だった。初球の148キロ直球を右犠飛。7―7で迎えた7回2死一、三塁では146キロ直球を右前に運ぶ決勝打を放ち、激闘に終止符を打った。2人の縁は続き、松本剛が同年に日本ハム入りすると、翌12年に大谷も入団。プロ入り初の投球練習を見守り「速い。今対戦したら打てない」と苦笑いした。

 《先発4番2桁盗塁なら38年ぶり》4番の松本剛(日)が1試合2盗塁。今季7盗塁は両リーグトップだ。松本剛の先発4番は3月25日のソフトバンク戦、9日の楽天戦に続き今季3度目で、過去2試合も1つずつ盗塁を決めており今季4番では4盗塁。日本ハムの先発4番2桁盗塁となれば、84年に13盗塁した柏原純一以来38年ぶりとなるがどうか。なお、チームの4番最多は東映時代の63年張本勲の41盗塁となっている。

 ◇松本 剛(まつもと・ごう)1993年(平5)8月11日生まれ、埼玉県出身の28歳。帝京では高校通算33本塁打を放ち、1年夏から甲子園に3度出場。11年ドラフト2位で日本ハム入りし、2年目の13年に1軍デビュー。4年目の15年に内野手から外野手に転向。17年10月に日本代表としてアジアチャンピオンシップに出場。今季年俸は2050万円。1メートル80、81キロ。右投げ右打ち。

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2022年4月13日のニュース