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OBが花巻東で奮闘 岩手・金ケ崎リトルシニアが目指す「次のステージへバトンを渡す」2年半

[ 2022年3月24日 08:00 ]

現役時代は社会人野球でプレーした大谷監督(左)
Photo By スポニチ

 岩手県胆沢郡金ケ崎町を拠点にする「金ケ崎リトルシニア」は2014年に創立された中学生の硬式野球チームだ。チームのOBで、花巻東に進学した田代旭(3年)、宮沢圭汰(3年)、熊谷陸(2年)、佐々木麟太郎(2年)の4人は23日に行われたセンバツ1回戦の市和歌山戦で先発出場を果たした。現役時代は社会人野球の三菱重工横浜で外野手としてプレーし、同チームの監督を務める大谷徹さん(59)が考える、中学チームの在り方について書きたい。

 雪が残る3月上旬の岩手県奥州市。廃校になった小学校の体育館にハツラツとした金ケ崎シニアナインの声が響いた。冬でも野球ができるよう改装された室内練習場。床には人工芝を敷き、ボールを使用した練習ができるようにネットが張られている。エンゼルス・大谷翔平投手の父で、中学1年から3年までの44人を率いる大谷監督は「中学の2年半を高校に上がるための準備期間、基本を身につけるための時間にしてほしい」と指導方針を語った。

 自身が小学、中学時代に専門的な野球指導を受けることができなかった経験から14年にチームを立ち上げた。「子供たちは成長段階にあり1年ずつ体も精神的な部分も変わっていく。体力づくりと精神面を含めた中での礼儀、あいさつ。そこを磨ければと思っています」と力を込める。

 指導で特に心がけていることが2つある。一つ目は、野球のセオリーを教えること。無死、1死で二塁走者は投手より三塁側の打球は基本的に進塁しない。高校レベルでは当たり前のことを小学野球を卒業したばかりの子に対して丁寧に教えていく。もう一つは、将来のためにクセを直す。特に投手では後々の故障につながりやすい肘が下がった投げ方などに修正を施し「高校でもケガをせずにプレーを続けてほしい」と願う。共通する考えは「基本を大事にする」という考え。1度でできなくても何度も何度も繰り返し、根気よく教える。

 練習試合や地域の大会では「できれば全員を使いたいと思っています」と25人のベンチ入り選手をできる限り起用する。目まぐるしい交代になっても「やっぱり、野球は試合に出ないと面白くないですよね」とプレーを楽しむ原点を忘れない。

 決して勝利を第一に求めない育成重視の指導方針。チームは全国大会の出場などの栄誉は得られないが、吉報も届いた。花巻東に進学したOBたちはこの春、念願の甲子園出場を果たした。金ケ崎リトルシニアで主将を務めた田代は花巻東でも主将。センバツでは初戦で惜敗したものの、9回に適時打を放って意地を見せた。

 「花巻東さんに限らず、公立でも主力になってもらいたいし、エースになってもらいたい。そのための礎をここで築いてもらいたいですね」と大谷監督。基本を大切にする考えが、スケールの大きな選手の育成につながる。(記者コラム・柳内 遼平)

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