市和歌山・エース米田 直球勝負貫き“怪物”麟太郎を圧倒2三振「楽しんで投げられました」

[ 2022年3月24日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第5日第1試合・1回戦   市和歌山5ー4花巻東 ( 2022年3月23日    甲子園 )

<市和歌山・花巻東>初回無死一、二塁、花巻東・佐々木を空振り三振に仕留めた米田)(撮影・成瀬 徹)
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 市和歌山が2年生四天王の一角、佐々木麟太郎を擁する東北王者の花巻東(岩手)を破って2回戦に進出。最速149キロを誇る今秋ドラフト候補右腕・米田天翼が佐々木を封じ、4失点完投した。

 今大会最速投手の米田天翼と高校通算56本塁打のスラッガー・佐々木麟太郎の“ほこたて”対決は、1学年上の右腕の完勝だった。

 「インコースの速いボールを見せて詰まらせていくという対策を立てていました。甲子園という舞台で最高の相手とできる。楽しんで投げられました」

 初回無死一、二塁の初対戦は、8球全て高めの球で空振り三振。第2打席も全4球を高めに投じ空振り三振。そして圧巻は3度目の対戦だ。「気持ちで押し切るというのが鍵になった」とエンジン全開で全球直球勝負。144キロ、143キロで追い込むと、カウント1―2からこの日最速145キロで膝元を突き三飛に料理。8回先頭では2球目の山なりの球で幻惑した後、最後は内角143キロ直球で一ゴロと手玉に取った。9回は死球も、相手主砲を4打数無安打2三振に封じた。最終打者を左邪飛に打ち取り、153球4失点完投。絶叫しながら三たびガッツポーズし、「勝ち切れたのが一番大きかった」と胸を張った。

 初戦前夜、DeNAドラフト1位・小園健太から連絡があった。「(1回戦の県岐阜商戦に勝利した)去年と同じ日付、同じ第1試合。いいピッチングができるぞ!」。先輩右腕がプロへ旅立つ前には、敗れた昨秋近畿大会準々決勝・天理戦の映像を見てもらい、けん制の癖と体の傾きを指摘されていた。吉兆と助言を力に変え、怪物退治で恩に報いた。

 「天翼」の名は山形新幹線「つばさ」に由来する。19年選抜で同校捕手として8強入りした3歳上の兄・航輝(現龍谷大野球部)が幼少期、新幹線が大好きで名付け親に。「天」は当て字で、羽ばたいてほしいという両親の願いもこめられた。「去年は一発を打たれてしまったんですけど、今年は直球を思い切って投げ込めた。成長していると思います」と米田。頂点へ、羽ばたく。(北野 将市)

 ◇米田 天翼(よねだ・つばさ)2005年(平17)2月13日生まれ、大阪府岸和田市出身の17歳。城東小1年から岸和田サウスジュニアーズで野球を始め、2年から岸和田ストロングスへ。山直中では貝塚シニアに所属。市和歌山では1年秋からベンチ入りし2年秋からエース。1メートル75、81キロ。右投げ右打ち。

 <記者フリートーク>

 米田の快眠を支えるのは、大切な“家族”だ。いつも3頭の熊のぬいぐるみを抱えながら床に就く。茶色の大きいものを昨秋和歌山大会で優勝した記念に、小学校時代のチームメートの保護者から贈られたことがきっかけだった。姉の和楓(のどか)さんが白の大きいものを買ってきて付け足すと、2頭では足らず自分で茶色の小さいものを購入。いっしょに夢を見てきた。

 幼少期から旅行するたびに各地のものを欲しがり、家の中には他にも多くのぬいぐるみがある。3人きょうだいの末っ子。幼稚園年中時の運動会ではリレー競走の最中、母の瑞緒(みずほ)さんを見つけて手を振っている間に負けてしまったという甘えん坊な逸話もある。マウンドでの鬼気迫る表情とは正反対の愛らしさも、右腕の魅力だ。(高校野球担当・北野将市)

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