明秀学園日立のプロ注目右腕・猪俣 8回86球で省エネ0封 状態不安も「自分らしい投球ができた」

[ 2022年3月24日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第5日第2試合・1回戦   明秀学園日立8-0大島 ( 2022年3月23日    甲子園 )

<明秀学園日立・大島>明秀学園日立先発・猪俣(撮影・平嶋 理子)
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 好きな言葉は「遊び心」。明秀学園日立のプロ注目右腕・猪俣駿太(3年)は、初の大舞台にも動じない強心臓ぶりを発揮した。表情を変えず、淡々と。心にゆとりを持って投げ続けた。

 「遊ぶくらいのリラックスした気持ちで投げられたらと思ってこの言葉を考えた。硬くならず、自分らしい投球ができた」。8回を投げ、わずか86球の省エネ投球。3回まで無安打で、3安打無失点。130キロ台後半の直球とスライダー、フォークを織り交ぜ、的を絞らせなかった。

 昨秋公式戦は9試合に投げ、1完封を含む6完投で関東大会制覇に貢献した。だが、疲労の蓄積から右肩の状態が悪化していき、2月までは本格的な投球練習ができなかった。「試合前の状態は良くなかった。やるしかない」と腹をくくって上がったマウンドで三塁を踏ませなかった。

 何事にも本番向きの気持ちの強さ。母・睦美さん(43)は「負けず嫌い。自分が一番じゃないと嫌」と幼少期にルーツをみる。小学校低学年の運動会では徒競走で1位になっても、借り物競争で3位になると、悔しさでうなだれていた。スタンドから見守り「3回からは安心して見てました」と目を細めた。

 5番に座った打撃も決して本調子ではなかったが、4回2死満塁で2点中前打を放つなど2安打2打点。直前にマンツーマンでの打撃指導を施した金沢成奉監督の「打順を下げようと思ったが、本番の強さに懸けた」という期待に応えた。「これからの試合につながる良いテンポでできた」と猪俣。頼もしいエースが本番で本来の姿を取り戻した。(田中 健人)

 ◇猪俣 駿太(いのまた・しゅんた)2004年(平16)9月8日生まれ、福島県出身の17歳。山都小2年時に会津喜多方リトルリーグで野球を始める。喜多方一中時代は喜多方ボーイズでプレー。明秀学園日立では2年秋にベンチ入り。趣味は漫画を読むこと。1メートル83、83キロ。右投げ左打ち。

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2022年3月24日のニュース