大島の快腕・大野は制球難に泣く 169球も報われず初戦敗退「夏に絶対この悔しさを晴らしたい」

[ 2022年3月24日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第5日第2試合・1回戦   大島0ー8明秀学園日立 ( 2022年3月23日    甲子園 )

<明秀学園日立・大島>力投する大島先発・大野(撮影・平嶋 理子)
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 初めての甲子園はほろ苦かった。大島のプロ注目左腕・大野稼頭央(3年)は8回169球を投げ抜くも10安打8失点。7四球と制球に苦しみ、「高めにボールが浮いてしまって、自分らしいピッチングができなかったのが心残り」と声を落とした。

 初回はアウト全てを三振で奪う好スタートを切ったが、2回に崩れた。2死満塁から押し出し四球で先制点を与えるなど3失点。外野手が飛球の判断を誤り2点打となる不運もあった。3回にも外野守備の乱れがあり1点を追加され、4回は2四球が絡んで4点を失った。

 5回以降は立ち直って1安打に抑えて意地は見せた。最速146キロの直球は140キロ止まりだったが、カーブやスライダー、チェンジアップを駆使。「変化球の切れだったり緩急は通用するなと思った」と手応えも得た。

 仲間と勝利を喜び合いたかった。大野は高校進学の際、奄美大島を出て鹿児島市内の強豪校に進むことも考えた。引き留めたのは現在のチームメートたちだ。家族同士で食事に行く仲だった捕手の西田心太朗(3年)からは「一緒にバッテリーを組みたい」とストレートに思いを告げられた。大野は「どっちの方が悔いが残らないかを考えたときに島だった。誘ってくれたみんなに感謝している」と語った。

 チームとして、個人として頂点を目指すという思いで帽子のつばには「日本一」と記している。「夏に戻って来て絶対この悔しさを晴らしたい」。夢をかなえるために故郷で鍛え直す。 (杉浦 友樹)

 ◇大野 稼頭央(おおの・かずお)2004年(平16)8月6日生まれ、鹿児島県奄美大島出身の17歳。小学3年に龍郷野球スポーツ少年団で野球を始める。中学では龍南中の軟式野球部に所属。高校では1年秋からエース。2年春に県大会4強、秋は県大会優勝、九州大会準優勝に貢献。1メートル75、64キロ。左投げ左打ち。

 ○…西武の松井稼頭央ヘッドコーチが大島の大野にエールを送った。昨秋に名前が自身に由来するということを知り、新聞などで結果を気にかけていたという。「お父様が自分のファンだということで、名前を付けたと知ったときは、正直うれしかったです」と話した。大野は最速146キロ左腕として今秋のドラフトの上位候補にも挙がる。惜しくも初戦で敗れたが、「同じ名前はインパクトがあるし、気になる。プロ野球という目標を持ってやると思うので、最後まで追いかけたいと思います」と語った。

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