相洋・鈴木 亡き父に見せたV3ラン「一番近くで見守ってくれた」 決勝は東海大相模と激突

[ 2020年8月23日 05:30 ]

神奈川準決勝   相洋9―6星槎国際湘南 ( 2020年8月22日    横浜 )

<星槎国際湘南・相洋>2回2死一、三塁、右越え3ランを放つ鈴木(撮影・島崎忠彦)
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 都道府県高野連が独自に開催する代替大会は22日、埼玉、神奈川で準決勝4試合が行われた。神奈川は相洋が星槎国際湘南を下し、初の決勝進出。昨夏王者の東海大相模と激突する。埼玉は昌平が浦和学院を破り、狭山ケ丘とともに初の決勝進出を決めた。23日、両県で決勝が行われ、全国の代替大会が幕を閉じる。

 亡き父が打たせてくれた一発だったのかもしれない。相洋(神奈川)は同点に追い付いた2回2死一、三塁で1番・鈴木心晴(しんせい=3年)が打席に入ると、不思議な感覚に襲われた。「体が軽い。ボールがよく見える」。これまでの不振がうそのようだった。内角直球を引っ張ると打球は伸び、右翼席に消えた。高校通算35号は決勝3ラン。「回してくれた仲間に感謝。(父に)良い姿を見せられたと思う」と静かに振り返った。

 今年3月に父・慶一さんをがんで亡くした。60歳の若さだった。生前、毎試合観戦に足を運んでくれていた慶一さんに応えようと、人一倍努力を続けてきた。小学校時代からともにプレーする主将・加藤陸久(3年)は「心晴が一番バットを振っていた。みんながそれに引っ張られた」とナインも刺激を受け、4強の壁を破った。

 今大会は準々決勝まで打率・267と不振だったが信頼は揺るがず、この日は1番を任された。「“塁に出ることが役割だ”と話して1番を任せた」と高橋伸明監督。4安打で応えた鈴木は「今日も(父が)一番近くで見守ってくれていたと思う」と天を見上げた。

 決勝の相手、東海大相模には1年秋から3季連続で敗戦。「相模を倒して優勝したい。決勝という最高の舞台でそれができる」。最高の勝利を、最愛の父に届ける。 (柳内 遼平)

 ◆鈴木 心晴(すずき・しんせい)2002年(平14)7月4日生まれ、神奈川県出身の18歳。小1から野球を始め、文命中時代は軟式野球部。名前は「周りの人の心も晴れるように」との両親の思いから。1メートル72、72キロ。右投げ左打ち。

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