巨人 1イニング6四球 78年「札幌カニカニ事件」再び 原監督「作戦の使いようもない」

[ 2020年8月23日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人4―10広島 ( 2020年8月22日    マツダ )

3回1死満塁、鈴木に押し出し四球を与えた畠。手前は三塁走者の大瀬良(撮影・森沢裕)
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 独り相撲で降板しては後続も止められない。「どういう言葉でフォローしていいかよく分からんね」。巨人・原監督から発せられた言葉だ。3回に6四球が絡み一挙6失点。「先発の差がはっきり出た。作戦の使いようもない」と熱を帯びた。

 矛先は畠に向けられたもの。相手先発の大瀬良に四球。続く長野にも四球。犠打を挟んで再び2者連続四球で押し出し。無安打での失点に、たまらず原監督はベンチを出て球審に交代を告げた。

 まだ原監督が東海大2年だった1978年7月6日の広島戦。2回に3投手で与えた1イニング10四球が球団ワーストでプロ野球記録だ。6押し出しなどで8失点に当時の長嶋監督は「野手で投げられる選手はいるか?」とあきれ返り、中継ぎ陣のあまりの惨状に同年に先発で12勝の堀内がブルペンで投球練習する一幕も。横歩きのカニのように次々に歩かせたため投手陣が「札幌カニカニ事件」として語り継ぐ試合。往年のファンにとっては、そんな屈辱が思い出される。

 実際、原監督は6日の阪神戦では大量ビハインドで野手の増田大を登板させているが、2番手で2四球を与えた田中豊については「責められない。(火を)つけた状態で行って、さあ止めなさいというのもね。何も下を向く必要はない」とかばった。2回1/3を5失点だった畠は「試合を壊してしまい申しわけないです」と猛省した。

 前日の田口も初回に5失点し、チームは2連敗。きょう23日は高卒2年目の直江がプロ初先発する。「先輩のお兄ちゃん2人がだらしなかった分、思い切っていけばいい」と原監督。気持ちを切り替え、前を向いた。(神田 佑)

 ▽78年7月6日広島戦  札幌の円山球場で開催された試合の2回に先発の浅野が4、角が3、田村が3四球を与え、3投手で6つの押し出しを含むプロ野球ワーストの1イニング10与四球。打者14人に被安打1で8点を失った。計76球で費やした時間は50分。当時の長嶋監督はベンチを飛び出して捕手・吉田に「ミットをど真ん中に構えておけよ」と大声で叫び、試合後は「北海道のファンに申し訳ない」と謝罪。試合時間が延びたことで、帰京便を1時間半遅らせることになり、翌日は休養日だったが、急きょ投手練習が行われた。

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2020年8月23日のニュース