まさかの展開も 120試合制でプロ野球はどう変わるか

[ 2020年5月27日 09:30 ]

開幕を待つ東京ドーム
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 【宮入徹の記録の風景】 今季のプロ野球は6月19日に開幕を迎える。シーズン試合数は前年の各球団143試合から120試合と大幅に減少。シーズン120試合制は50年パ、52年セ、53年パ以来67年ぶり。両リーグがそろって120試合制となるのは史上初めてのケースだ。

 2リーグ制後、各球団が125試合以上戦ったのはセが68シーズン、パが66シーズンある。そのうち、パの前後期2期制時(73~82年)、同リーグでプレーオフの勝者が優勝となった04~06年、最多勝利数チームが優勝となった01年のセを除き、各球団120試合終了時の勝率を出してみた。この中で勝率1位だったチームが最終2位以下に転落したのは延べ15チーム。最多はソフトバンクが南海時代の3度を含め5度。次いで阪神4度、西武2度、巨人、近鉄、広島、ヤクルトが1度ずつとなった。

 年代別では50年代から90年代まで計8度だったのが、00年以降は計7度。01年からシーズン試合数が140試合以上に増加したこともあり、逆転されるチームが目立つ。中でも阪神は08、10、15年と00年以降では最多の3度と集中。あと一歩でペナントに届かず悔しい思いをした。最近では昨年のソフトバンクがそうだ。120試合消化時でソフトバンクは64勝52敗4分けの勝率・552。優勝した西武は64勝55敗1分けの・538と・014差をつけたが、終盤にひっくり返された。

 珍しい例では96年のセ・リーグが挙げられる。この年は130試合制だったが、120試合消化時に巨人、広島がそろって69勝51敗(・575)で同率首位。さらに直接対戦はこの時点で12勝12敗と全くの五分だった。セ・リーグのアグリーメント(試合規定)によればレギュラーシーズンで勝率、勝利、当該球団同士の対戦成績が同じだと前年度順位が上位の球団を優勝とするとある。この規定を当てはめると前年2位の広島が前年3位の巨人を抑え優勝となっていたところ。同年のパ・リーグは120試合時で優勝したオリックスが勝率1位。もしも日本シリーズで広島との対戦だったら、イチロ―と前田智徳の天才打者の競演が実現していたわけだ。

 試合数の削減は個人タイトルにも少なからず影響を及ぼしそう。参考までに最近10年間の投打各4部門(防御率、勝利、奪三振、セーブ、打率、本塁打、打点、盗塁)についてチーム120試合時の成績を調べてみた。すると、どの部門でも1位を守れなかったケースが散見。特に終盤の波乱が多かったのがパ・リーグの打率だ。10年田中賢介(日本ハム)、11年栗山巧(西武)、12年中島裕之(西武)、15年秋山翔吾(西武)と打率1位の4人が2位以下に陥落。一方、波乱が少なかったのはパ・リーグのセーブで18年増井浩俊(オリックス)以外はタイトルを手にしている。個人では首位打者2度の柳田悠岐(ソフトバンク)が15年盗塁、17年本塁打、打点と120試合時の1位を守れず。過去に誰も達成していない生涯個人で3冠(首位打者、本塁打王、打点王)+盗塁王を逃している。

 今季は安打、本塁打、打点のような累積記録は更新の可能性が極めて低い。ただし、打率はチャンスがありそう。実際、86年バース(阪神)はチーム120試合時に打率・395(最終・389)。94年のイチロー(オリックス)も・390(同・385)と「夢の4割」にあと一息に迫っていた。今季の試合数減少で、想定外の記録が生まれるかもしれない。(敬称略)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。

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