投手泣かせの小技職人 日本ハム・中島卓也

[ 2016年11月11日 09:00 ]

 【宮入徹の記録の風景】球場には「粘り王子」の応援プラカードが掲げられる。日本ハムの10年ぶりの日本一に貢献した中島卓也内野手(25)は、投手により多くの球数を投げさせる。今季レギュラーシーズンで10球以上粘った打席は両リーグ最多の29度に達した。

 11年の1軍デビュー以来、1打席で10球以上粘った回数を年度ごとに出すと11年0、12年1、13年7、14年10、15年20、16年29と右肩上がり。1試合に2度10球以上投げさせたのが今季は5月24日ロッテ戦、同31日ヤクルト戦、7月12日オリックス戦と3度もあった。通算67度は現役ではロッテ・福浦の59度を上回り、実働6年目で既に現役ではトップに立つ。

 中島は通算2033打席で10球以上粘った比率は30・3打席に1度。福浦は通算7600打席だから128・8打席に1度と4倍強の打席を要している。いかに中島が投手により多く投げさせ、疲弊させているかが分かる。

 ところが、今季10球以上粘った打席の成績は19打数無安打、10四球、12三振。粘った末の結果が無安打では本人も納得していないだろう。中島の打撃成績は打率・243でパ・リーグ規定打席到達者28人中最下位。10球以上の打席数を今季の成績から引くと、打率は・257となり24位相当までアップする。来季は鋭い当たりのファウルをいかにヒットゾーンに飛ばせるかが、課題になる。

 そんな中島にとってお手本といえるのが、セ・リーグでファウル打ちを得意とするヤクルトの川端だ。昨季、打率・336で首位打者を獲得したが、10球以上粘った打席は8度あって、結果は2打数2安打、6四球で出塁率は10割。当然ながら中島もここを目指したい。

 粘りとは別に、中島は送りバントの名手。今季は62犠打を決め自身初の最多犠打を記録した。失敗は1度しかなく、成功率は98・4%と驚異的な高さ。シーズン60犠打以上は01年ヤクルト・宮本慎也の67犠打を最多に5人目(6度目)だが、成功率では11年ヤクルト・田中浩康の・970(成功64、失敗2)を抜く歴代最高の数字を残した。

 加えて俊足。昨年は34盗塁で自身初の盗塁王を手にしたが、今季はリーグ4位の23盗塁に終わった。これまで、同一シーズンに盗塁王と犠打王を記録したのは、1946年グレートリング・河西俊雄、52年南海・木塚忠助、54年阪神・吉田義男、67年東京・西田孝之、2011年ソフトバンク・本多雄一と5人だけ。「走れる小技師」に狙ってもらいたい。(専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から26回連続で資料説明役として出席。

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