秀岳館 とことん野球に打ち込んだ 鍛治舎監督「褒めてやりたい」

[ 2016年8月21日 05:30 ]

<北海・秀岳館>センバツに続き4強止まりで引き揚げる秀岳館ナイン

第98回全国高校野球選手権第13日・準決勝 秀岳館3―4北海

(8月20日 甲子園)
 準決勝2試合が行われ、初の決勝進出を目指した秀岳館(熊本)は3―4で北海(南北海道)に敗れ、今春センバツに続いて4強止まりで終わった。終盤に九鬼隆平主将(3年)を中心に猛追。あと一歩及ばなかったが、熊本地震からの復興のシンボルとして今夏の甲子園で最後まで熱闘を繰り広げた。決勝は54年ぶりの全国制覇を目指す作新学院(栃木)と初の日本一を狙う北海の組み合わせとなり、21日午後2時からのプレーボールが予定されている。

 泣き崩れる仲間を抱きかかえながら、九鬼は気丈に試合後の整列に加わった。今春センバツの準決勝では延長11回に頭部死球を受けて担架で病院に運ばれ、整列にも加われなかった主将。試合後は徐々に涙がこみ上げてきた。

 「準決勝の大きな壁は甘くはなかった。チャンスをものにできず、打たれたのも自分のせい。最後まで迷惑をかけっぱなしでした。申し訳ない」

 声が上ずりだすと、「しっかりしろっ!」と会見場で隣の壇上にいた鍛治舎巧監督から一喝された。

 0―0で迎えた3回2死二、三塁。ここで中井が2番手としてマウンドに上がり、打席には北海のエース大西。2ボール1ストライクからの4球目。強気な左腕を信頼して内角を突くことも考えたが、外角直球を要求し、右中間に運ばれた。初回無死一、三塁の絶好機を盗塁死などで逃した上に、今夏初めて先制を許す予期せぬ展開にチーム全体が浮足立った。

 昨秋から不動の4番。結果が出ず「下位打線に合ってる」と弱気になったこともあった。そんな中、池田(徳島)で86年春を制するなど甲子園に4度出場した父・義典さんからの助言は「すり足打法」。今夏から素直に取り入れた。7回に先頭で右中間二塁打を放って反撃ののろしを上げると、8回2死二塁では右前適時打。右翼手の後逸で一気に本塁に生還したが、あと1点が遠かった。

 4月の熊本地震後はチームで「頑張ろう九州! 負けんばい熊本!」とプリントされたTシャツを制作。さらに宇城市の産業廃棄物処理センターで廃材の片づけを手伝うボランティアにも参加してきた九鬼は「日本一が一番の恩返しだと思っていたのに…」。8月に入っても9日に熊本地方で、19日にも阿蘇地方でそれぞれ震度4の地震が発生するなど、復興へ苦難の道のりが続く熊本へ優勝旗を持ち帰れなかったことを悔やんだ。

 頂点を目指した戦いは春と同じく4強で幕を下ろした。それでも指揮官は最後に言った。「被災した後、とことん野球に打ち込んで頑張ってくれた。褒めてやりたい」――。 (井上 満夫)

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