北海・大西 4連続完投&V打 創部116年目、夏最多37度目出場で初

[ 2016年8月21日 05:30 ]

<北海・秀岳館>岡田准一似と話題の北海エース大西は4戦連続完投で決勝進出に導く

第98回全国高校野球選手権第13日・準決勝 北海4―3秀岳館

(8月20日 甲子園)
 準決勝2試合が行われた。北海(南北海道)は秀岳館(熊本)を4―3で下し、創部116年目で初の決勝進出。エースで主将も務める大西健斗投手(3年)が3失点に抑え、4試合連続完投を果たした。作新学院(栃木)は15安打の猛打で明徳義塾(高知)を10―2で圧倒。史上初の春夏連覇を果たした62年以来54年ぶりに決勝へ駒を進めた。決勝は21日午後2時から行われる。

 これぞ昭和野球の真骨頂。魂の4試合連続完投で大西が新たな歴史を刻んだ。4回目の校歌を歌い終わると、いつものように一人だけ帽子をとって相手ベンチに一礼。相手を敬う礼儀正しい姿勢も、甲子園に懐かしくて新しい昭和の香りを吹き込んでいる。
 春夏連続4強の強敵を相手に真っ向勝負して勝った。初回無死一、三塁のピンチ。二盗を阻止して、ボール球を後逸する間に本塁を狙った三塁走者をアウトにすると勢いに乗った。4回には今大会自己最速の144キロをマーク。踏み込んでくる打者には内角を突き、縦のスライダーなど外角球で打ち取る。データ重視ではなく、臨機応変に攻め方を変えるクレバーさを見せつけた。
 平川敦監督から8回に声を掛けられると「行けます」と即答。終盤に1点差まで迫られたが、最後まで粘り抜いた。126球完投。「コントロールがよかった。そこに尽きる。高めに抜けなければホームランを打たせない自信があった」と胸を張った。
 打でも主役だった。3回2死二、三塁で低めの直球を捉え右中間へ先制の2点三塁打。本来は4番だが、初戦で左手甲に死球を受けたため8番に下がった。左手の握力が69キロから40キロまで落ちた中、右手でしっかり押し込んだ大西は「4番の意地を見せたかった」と笑顔を輝かせた。
 4試合457球を投げて、なおも大西は決勝のマウンドに立つ。「もちろん最後の最後まで完投する気で投げます。いつも通りの笑顔で楽しい北海野球をしたい」。昨秋29年ぶりに秋初戦敗退した後、選手たちは「ここから甲子園に出場すれば映画になるね」と口にしてきた。甲子園出場どころか、創部116年目での甲子園優勝という超サクセスストーリーを笑顔で完結させる。 (石川 加奈子)

 ▼日本ハム・鍵谷(北海OB、08年度卒)昨秋は(札幌支部予選で)初戦負けだった。その分、いろんなことを経験してここまで来た。新しい歴史をつくっている。決勝も自信を持ってやってほしい。

 ≪道勢夏10年ぶり4度目≫北海が63年春の準優勝以来、夏は初の決勝進出。北海道勢としては06年準優勝の駒大苫小牧以来夏10年ぶり4度目、春も合わせると6度目の決勝進出。

 ≪出場回数上位10傑唯一決勝なかった≫北海は歴代最多の夏37度目の出場だが、出場回数上位10傑で唯一決勝進出がなかった。2~8位校は優勝経験があるだけに、最多出場の意地を見せられるか。

 ≪夏は初の対戦≫過去、夏の甲子園で北海道勢と栃木勢の対戦はない。春は88年センバツ3回戦で宇都宮学園(現文星芸大付)が北海を6―2で下している。

 ▽毎回安打 北海が準決勝の秀岳館戦で記録。今大会2度目で通算79度目。

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