選手会 加藤コミッショナー辞めさせろ “痛烈”要望書

[ 2013年6月28日 06:00 ]

事実上の退任要求を突き付けられた加藤コミッショナー(右は巨人の渡辺恒雄球団会長)

 日本野球機構(NPB)が統一球の規格を無断変更した問題で、労組・日本プロ野球選手会(楽天・嶋基宏会長)は27日、NPBと問題を調査する第三者委員会に対し「統一球問題に関する当会の要望と見解」を提出した。加藤良三コミッショナー(71)に事実上の退任を要求する内容。加藤コミッショナーの適性を否定し、NPBの組織構造上の問題を指摘した。さらに新しいコミッショナーの条件も提示し、球界トップの入れ替えによるNPBの改革要求を突きつけた。

 加藤コミッショナーの退任なくして前に進めない。嶋会長は西武戦(県営大宮)後、きっぱりと言った。「加藤さんに代わる若くてリーダーシップのある中立的な新しいコミッショナーを立てることが今後のプロ野球界のために最善」。この日、選手会・松原徹事務局長がA4紙2枚の要望書をNPB・井原敦事務局次長に手渡した。

 要望は5項目で「消極的で責任回避的な人物がこれまでコミッショナーを務め続けてきた」など、退任を既定路線とした内容だ。28日に第1回会合を行う「統一球問題における有識者による第三者調査・検証委員会」(以下、第三者委員会)を前に表明した選手会の強い意志だった。

 NPBによる統一球反発係数の無断変更はファンの不信感を呼び、事務局への抗議のメールは発覚直後の2日間だけで4000通を超えた。変更を「知らなかった」と発言した加藤コミッショナーだが、事態は組織の構造改革を求める声にまで発展。選手会は、それを現体制で推進するのは不可能と断定したのだ。

 新しいコミッショナーの条件として挙げたのが、(1)比較的若い年齢(2)中立性の高い人物(3)優れたビジネスセンスを持った人物――。特に(2)には注釈で「特定の球団等と過度に密接な関係を持たない」と明記し、人選の過程が不透明な12球団オーナー会議の選任方法を批判した。

 選手会はこれまでも加藤コミッショナーの適性に疑問を投げかけてきた。11年3月の東日本大震災影響下におけるセ・リーグの開幕問題では文科省まで巻き込んだ騒動に発展。昨年のWBCをめぐる選手会のボイコット問題では、日本のスポンサー権利などを求める選手会の主張を受けながら主催者側と直接交渉を行わず、当時の新井貴浩会長(阪神)には一選手の立場から異例の批判を浴びせられた。今回がいわば「最後通告」である。

 今後は、第三者委員会の調査報告を待って7月10日のオーナー会議、もしくは臨時オーナー会議で統一球問題を議論。そこで加藤コミッショナーの責任が問われる可能性もある。ただ、オーナー会議の不透明性を危惧する選手会は要望書の中でNPBの改革を「棚上げ」にしないようクギを刺した。そして、それが実行されない場合は「必要な行動を取っていく」と表明した。

 松原事務局長が「繰り返してはいけない不幸な出来事」と振り返る04年のストライキ、そして昨年のWBC不参加決議。ファンが最優先と主張する選手会はあえてそれらを断行した。NPBが導く結末次第では強硬手段も辞さない構えだ。

 ≪統一球問題経過≫

 ▼12年9月10日反発係数調整検討 NPBがミズノ社と統一球調整の可能性について検討開始。

 ▼10月4日極秘発注 NPB・下田邦夫事務局長からミズノ社に発注を説明。現場の混乱を防ぐために公表しないことを決定。NPB内の情報共有は事務局長と実務担当者の2人に限定。

 ▼13年2月初旬切り替え 新旧の球の切り替えを開始。

 ▼3月のオープン戦中切り替え終了 新旧の球の切り替え終了の報告を受ける。

 ▼6月11日変更発覚 NPBと労組・日本プロ野球選手会との事務折衝で、今季から統一球が「飛ぶボール」となっていたことが明らかに。

 ▼同12日緊急会見 加藤良三コミッショナー緊急会見。「私が知ったのはきのう(11日)。知っていたら公表していた」と「隠蔽(いんぺい)」の意図はなかったと強調。自身の進退についても「不祥事とは思っていない」と辞任を否定。

 ▼同13日抗議殺到 NPBへの抗議電話とメールが2日間で4000件超。

 ▼同14日再会見も辞任否定 統一球問題で第三者機関を設置、調査することが決定。
加藤コミッショナーは「大変な失態であったと猛省しております」と謝罪したが、辞任はあらためて否定。

 ▼同17日人選着手 12球団が、NPBの調査に当たる第三者機関の人選に着手。

 ▼同25日第三者委設置 NPBが第三者機関「統一球問題における有識者による第三者調査・検証委員会」の設置を発表。特別アドバイザーに元巨人の桑田真澄氏が就任。

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