【山井 幻の完全試合VTR】記録より日本一「チームの勝利が優先」

[ 2013年6月28日 22:20 ]

07年日本シリーズ第5戦、山井から岩瀬への投手交代を告げる中日・落合監督(左)

日本シリーズ第5戦 中日1-0日本ハム

(11月1日 ナゴヤD)
 トレードマークのゴーグルが入った眼鏡ケースを、山井は歓喜にわくスタンドに投げ入れた。自身の快挙は頭から消えていた。勝てたこと、何より大舞台のマウンドに立てたことが喜びだった。8回、打者24人をパーフェクト。こんな男が最後に控えていれば、落合竜が強いのは当然だった。

 「最高、出来過ぎです。それに声援が本当に凄くて…。マウンドにまで響いてきた。パワーに変えようと思いました」

 140キロ台中盤の直球に切れ味抜群のスライダー。6回まで外野への飛球は1個だけだった。回を追うごとにスタンドはざわめき、誰もが快挙を期待した。しかし「この試合は個人記録よりチームの勝利が優先」と山井。「それに、こういう場所に立てるだけでもなかなかできないこと。去年のこととかを考えると…」。しみじみと続けた。

 昨年の今ごろは、心が折れそうになる自分自身と闘う日々だった。「投げられなかったし…。シリーズはテレビで見てました」。右肩痛で昨年1年を棒に振った。復帰は今年7月6日の阪神戦(ナゴヤドーム)。長期ブランクを克服して6勝を挙げたが、CSでは登板機会なし。巨人との第2ステージ初戦では、大方の予想が山井の中で小笠原が先発。自身は“ダミー”になったが「いつか出番が来ると思って調整していた」。ためにためたエネルギーを爆発させ、史上初の継投での完全試合を達成。優秀選手賞にも輝いた。

 「まさか山井がここまで投げるとは…」。落合監督も驚いた快投。表情から心理を悟られないようにゴーグルをかけてマウンドに登る神経質で、優しい男が、最高の舞台で強心臓ぶりを発揮した。試合後、ゴーグルを外した山井の目はほほ笑んでいた。本当にうれしそうに。

 ≪45年ぶり村山超え24人完全≫中日は山井が8イニング(24人)、岩瀬が1イニング(3人)を無走者。過去、日本シリーズの1試合最少被安打は01年第1戦ヤクルトの1安打(石井一1、河端0)。パーフェクトリレーはシリーズ史上初めてだ。また、先発投手の初回先頭からの連続無走者はこれまで62年第2戦で村山(神)がマークした22人。山井は45年ぶりにこの記録を塗り替えた。無安打のまま降板も、従来最長だった99年第3戦永井(ダ)の6イニングを大幅に更新した。(2007年11月2日付紙面から)

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