阪神・岩崎「湯浅がいなくて負けたと言われるのが一番嫌」「そこは意地。ブルペン全員の思い」

[ 2023年5月16日 05:15 ]

阪神・岩崎
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 阪神・岩崎優投手(31)が15日、本紙に塩対応ではなく思いの丈を打ち明ける企画「成し遂げる」で一時離脱中の湯浅の代役として9回のマウンドに上がる心意気を激白した。開幕直後には故障歴のある背中に痛みが走り、登板回避の“危機”にあったことも告白。痛みの出ない動きを模索した末にたどり着いた新フォームが、好調の要因になっていることも明かした。(取材・構成=遠藤 礼)

 岩崎は「守護神」という言葉に強く首を振った。「守護神は湯浅なんで。戻ってくるまでは自分が何試合か頑張ろうと。そういう気持ちですね」。不振のK・ケラーに代わって28セーブを挙げた昨季とは状況が違う。湯浅離脱後にあった3度のセーブ機会はすべて無失点。生半可なメンタルでは務められないポジションで湧き上がる力の源があるという。

 「“湯浅がいなくて負けた”と言われるのが一番嫌。そこはもう意地ですよね。自分だけじゃなくてブルペン全員の思いなんじゃないですかね」

 湯浅の不在は、他の誰かの好機とも言い換えられる。若い選手はがむしゃらに結果を求め、岩崎、岩貞、加治屋ら中堅組は屋台骨を支えていく。15日時点でリーグ1位の救援防御率1・98は、それぞれの意地の結集でもある。

 「まだ5月ですから」と数字を気にすることはない。10年目の今季は開幕から11試合1勝3ホールド3セーブ、防御率0・90。出色のパフォーマンスの裏には危機から脱した“最適バランス”がある。4月8日のヤクルト戦(甲子園)の試合前のことだ。キャッチボール中に背中に痛みが走った。過去に何度も痛めてきた箇所で離脱の経験もある。まだシーズン序盤。登板回避の選択肢もなかったわけではないが、試合中のブルペンで「何とかやってみて、これでダメなら(首脳陣に)言おうと思って」とフォームを模索してマウンドへ向かった。1―0の7回に登板して1四球1安打で招いた2死一、三塁を粘って無失点で切り抜けた。

 「痛みのないポジションを考えてやったら、バランス良く投げられた。ここ何年かはやってなかったバランスなんですけど、今もそのフォームで投げていますね」

 “手負い”の投球で得たものは結果以上に大きかった。「このフォームでずっと結果が出るかどうかは終わってみないと分からない。ただ、今のベストはこのバランスで投げること」。救援専念の17年から昨季まで年平均55・8試合というフル回転に勤続疲労は感じていないという。「それを感じたら終わりだと思う。積み重ねてきたものもあるし、毎年キャリアのベストを目指すことは変わりません」。長い一年でいろんなことに直面することは自覚している。難局でこそ問われるプロ10年目の“年輪”。困難も一つずつ乗り越え、頂点を見据えた。

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