【スポニチ潜入(4)立命大・谷脇弘起投手】スライダー操る“ドクターK” 悩める日々でつかんだもの

[ 2023年5月16日 09:00 ]

ボールを手に笑顔を見せる立命大・谷脇(撮影・後藤 大輝)(2023年2月26日撮影)
Photo By スポニチ

 アマチュア野球の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube「スポニチドラフトチャンネル」において取り上げる企画「スポニチ潜入」第4回は、今秋ドラフト候補に挙がる立命大の最速151キロ右腕・谷脇弘起(4年)。主な変化球はスライダーのみだが、絶対的な自信を持つその勝負球を自由自在に操り、高い奪三振率を誇る本格派の魅力に迫る。

 谷脇は勝負球のスライダーを武器に、プロ注目右腕にまで評価を高めた。「スライダーが生命線だし、これは誰にも負けられない」。三振を狙う時は、直球の軌道から急ブレーキをかけるようにして落とす。カウントを整える時は、曲がり幅を大きくする。リリース時の手首の角度や力感を変えることで、頭で思い描いた通りに変化させることが可能だ。

 この勝負球で奪三振を量産してきた。「三振には、こだわっています。追い込めば三振を取れる自信はあります」。那賀(和歌山)では、3年夏の県大会で1大会最多記録の66奪三振(6試合計47回1/3)をマーク。今春リーグ戦は28回2/3で31三振を奪っている。

 スライダーの原点は、那賀での3年間にある。姉と同じ高校に進学すると、甲子園出場経験のない無名校で1年春から登板機会を与えられた。投球練習では、ホームベースの両端に置いた球をスライダーで狙った。独自の練習法と実戦登板を繰り返すうちに、持ち球は決め球に変わった。「三振を取りたいと強く思うようになったのは高校からです」。甲子園出場はかなわなかったものの、3年夏にはチームを県大会決勝にまで押し上げた。

 立命大では、高校3年間のように順風満帆だったわけではない。3年春のリーグ戦では6試合に救援登板して防御率6・35(5回2/3、4失点)。「ただ速い球を投げることを求めていた。なぜ打たれるのかを考えました」。悩める日々が「間合い」の大切さを教えてくれた。現在は、大きく振りかぶってから、わずかに時間を置くようにタメをつくり、そこから左足を上げて2段モーションで投げ込む。「試行錯誤するうちに自分に合ったタイミングが見つかった。球も速くなりました」。自己最速は151キロ。今春は主戦投手として、3勝を挙げた。

 「勝たないと注目されない。(勝利が)プロへのアピールにもつながると思っています」。奪三振を積み重ね続けた先に、プロ入りが待っている。(河合 洋介)

 ◇谷脇 弘起(たにわき・こうき)2001年(平13)11月25日生まれ、和歌山市出身の21歳。小学2年から宮セネタースで野球を始め三塁手。中学では和歌山ビクトリーズに所属し、2年時に投手転向。那賀(和歌山)では1年夏から背番号20でベンチ入り。2年秋からエースとなり、3年夏は県大会準優勝。立命大では2年春にリーグ戦デビュー。50メートル走6秒5、遠投110メートル。1メートル85、86キロ。右投げ左打ち。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月16日のニュース