大分・佐伯鶴城“渡辺マジック”さく裂 大分商との古巣対決“秘密兵器”で4強入り勝ち取った

[ 2022年7月19日 06:00 ]

第104回全国高校野球選手権大分大会・準々決勝   佐伯鶴城8-3大分商 ( 2022年7月18日    別大興産 )

スローカーブで大分商打線を翻弄した佐伯鶴城の先発左腕・日高義己
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 佐伯鶴城の“渡辺マジック”がさく裂した。今春、大分商から異動した渡辺正雄監督は、新天地で古巣対決に備え“秘密兵器”を準備していた。

 先発した背番号11の日高義己(2年)に、この日のために徹底して“緩いカーブ”を磨かせた。左腕は100キロに満たないスローカーブを腹をくくって投げ続け、大分商打線を翻弄(ほんろう)した。103球で8安打2失点。「狙い通りうまくいった。まさか完投するとは」と自身も驚きの9回完投で準決勝に導いた。

 身長1メートル67と小柄な左腕は、以前は最速126キロの直球にこだわっていた。新指揮官に「投手は球速じゃない。特に左の変化球は武器になる」と言われ考え方を変えた。「カーブあってのストレート。緩い変化球を遊び心を持って投げるようになった」。この日の快投も「自信になった」。指揮官も「完投は大きい」と称えた。

 渡辺監督は3月まで指導した元教え子たちとの対戦に「複雑な思いがあった。でも勝負なので自分のチームが勝つ方法を探った」と苦しい胸の内を明かした。大分商の先発で主将の池田壮史朗(3年)が「頭が真っ白になって全員泣き崩れた」と振り返る衝撃の異動だった。

 次は選抜出場の大分舞鶴との対戦。「力の差があるが何とか粘って接戦に持ち込みたい」と意気込む。敗れて涙を流す大分商ナインの姿に「彼らの思いも背負って甲子園に」と誓いを新たにした。(村田 有子)

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2022年7月19日のニュース