支配下昇格のソフトバンク・中村亮太 投球以外にも注目 緩急も切れ味も抜群のトーク力

[ 2022年7月19日 07:30 ]

ソフトバンク・中村亮
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 何か、発言が「ジワる」大卒2年目右腕が育成選手から昇格した。ソフトバンク・中村亮太投手(24)が、2日に支配下選手登録されて会見を開いた。西武戦に臨む1軍に同行していたため、会場は立川市内のホテル。壇上は永井智浩執行役員・スカウト部部長と2人きり。サウナフリークの同部長が中村亮の緊張を感じさせない話しぶりに「何で、そんなに“ととのって”いられるの?」と言うほど、落ち着き払っていた。その理由から面白かった。

 「周りからはマイペースと言われますが、マウンドに行ったら変わるよね、と。頭がいいとかはなく。極力、人と話さないんですけど」

 千葉県出身者による、ひょうひょうとした抜群のツカミだった。1メートル82の長身から最速154キロを投げるが、異様に長いリーチも特徴的。幼少期の習いごとも影響したというのだが、いちいちツボった。

 「幼稚園の時は水泳、小学3年まではバスケットボールと野球をやっていたけど、試合がかぶった。どっちか絞れ、と言われた時、野球の方が雨が降れば中止になる。あそこで野球を選んでいて良かった」

 エピソードトークでも聞き手の心を離さない。千葉経大付時代の3年夏に木更津総合のエース早川(現楽天)と投げ合って5―6で逆転負け。甲子園出場はなく、東農大北海道オホーツクから20年育成ドラフト8位で入団。背番「137」は支配下契約により「60」になった。プロ入りするまで、いつの時代の恩師に最も感謝を伝えたいか、とベタな質問を受けた時も、その返しには切れがあった。

 「中学の時ですかね。丸刈り頭が嫌で。“髪、伸ばしていいよ”と監督が言ってくれた。だから続けられた。中学時代です」。決してウケを狙っている様子はない。素(す)で返す。ただ、丁寧にこちらの内、外角を突いてくるようなイメージだ。

 中村亮の大叔父は、阪神の内野手としてプレー後に阪神、オリックス監督を務めた故・中村勝広氏。小学生時代に「打撃は気持ちで負けなきゃ打てるんや」と教わって以来、再会する機会はあまり訪れなかったという。自宅のテレビの野球中継は、常に甲子園の映像が映っていた。藤川球児氏の直球に憧れた。大叔父も大事にしてきた言葉「克己心(こっきしん)」を引き継いで、自身の座右の銘としている。

 7日の七夕の夜、楽天戦で1軍初登板。1イニングを4安打3失点のほろ苦いデビューだった。現在も、中継ぎとして雪辱の舞台に備え、ブルペンで待機している。プロ初勝利投手となった際のお立ち台。一見、クールに見せながら、すべらない一言を確実に放り込んでくるとみる。その際、再び掘り下げたいと思う。何か、魅力を秘めている。(記者コラム・井上 満夫)

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2022年7月19日のニュース