【スポニチスカウト部(22)】東農大・宮崎颯 「投手一本」再転向で開花

[ 2022年7月19日 06:30 ]

東都2部選抜として社会人との交流試合に登板した東農大・宮崎
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第22回は東農大・宮崎颯(はやと)投手(22)。最速147キロを誇る左腕は、しなやかなフォームから繰り出す切れのある直球が武器で、今後の伸びしろも十分に秘めている。

 現在プレーするのは東都大学野球の2部リーグだが、宮崎にはプロ球団のスカウトから熱視線が送られている。6月26日には、東都2部選抜としてNTT東日本との交流試合に登板。今春リーグ戦では不調で2試合の登板にとどまった左腕は、1回を無失点に抑えて復調をアピールした。

 「(社会人は)一球でも甘く行くと打たれるような高いレベルということが分かった。もう一つ上のレベルに行けるように頑張らないといけないと思います」

 さらなるレベルアップに向けた最大の課題は制球力の向上だ。ブルペンでの投げ込みのほか、キャッチボールにひと工夫。練習では常に40メートルほどの距離でのキャッチボールを反復する。「ワンバウンドになっていいから、低く低く投げる。いつでも低めに力強い球を投げられるようにという意識。指のかかりとかも確認しやすい」。元々、直球の切れには自信がある。低めの球の伸びを追求しながら制球力を上げる。

 投手としてプロ注目の存在となった宮崎は埼玉栄時代は外野手。高校入学当初も投手だったが、1年の冬に肘を痛めたため野手に転向した。だが、投手をやりたいという情熱は消えなかった。大学進学に際して「投手一本でいくと決めていた」と覚悟を決めた。外野手として長い距離を投げる経験も生き「大学で投手で戻ってきて真っすぐが良くなってるなと感じた」と語る。

 趣味を問われれば「よくやっていることはウエートトレーニングです」というほどの練習好き。ケガの防止を含めて週5、6回はトレーニング室に入って体をいじめ、「周りには下半身がでかいと言われます」と投球の土台をつくってきた。

 自身も巻き返しを誓う秋のリーグ戦。「1位を狙って、(大学の)ラストシーズンなので今持てる力を全て出したい」と宮崎。自身の成長がチームの浮上にもつながる。(田中 健人)

 《YouTubeで元阪神・球児氏を研究》宮崎はオフの日の過ごし方は「ひたすら寝てるか、友達とご飯に行ったりです」という。自室では音楽や映画観賞などはせず、野球の関連動画を熱心に見て情報を集める研究家だ。最近では、特に元阪神・藤川球児氏のYouTubeチャンネルをよく見て参考にしている。藤川氏は自身と違う右投げだが「僕も真っすぐで勝負するタイプの投手なので、参考にしています」と語る。最終目標は「最終的には分かってても打たれない真っすぐ。そこを目標にして頑張っています」。藤川氏のような「火の玉ストレート」を追い求めている。

 ☆球歴 野球好きの祖父の影響で原市南小1年時から南エンゼルスで野球を始める。中学時代は大宮シニアでプレー。小学生から投手になり、埼玉栄では1年春からベンチ入り。甲子園出場はなし。東農大では1年春のリーグでデビュー。

 ☆球種 直球、カットボール、スライダー。

 ☆原市中 埼玉県上尾市の原市中出身。同校は人気お笑いコンビ「ハライチ」の澤部佑(36)の母校で本人と会ったことがあり、「おおっ、という感じで。オーラがありました」。

 ☆謙虚 好きな言葉は「天狗(てんぐ)になるな、謙虚になれ」。

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2022年7月19日のニュース