冬季パラのレジェンド7大会連続大舞台へ涙で語る思い 新田佳浩「出場できなかった選手の悔しい気持ちを」

[ 2021年12月27日 22:19 ]

囲み取材で涙を流して思いを語る新田
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 北京冬季パラリンピックに出場するノルディックスキー距離の日本代表が27日、北海道旭川市内で練習を公開した。18年平昌大会男子10キロクラシカル(立位)金メダリストで、41歳の新田佳浩(日立ソリューションズ)は軽めの調整。練習後の取材では7大会連続の大舞台へ、思いを打ち明けた。

 冬季パラのレジェンドはさまざまな思いを背負い、北京へ向かっている。まずは、この北京での舞台を集大成として挑むことだ。「個人の目標としては、クラシカルのロングで少しでも上位に食い込みたい」と意気込む。また、前回大会は4位で惜しくもメダルを逃した距離混合10キロリレーのリベンジへ「メダルに絡めるようにやっていく」と誓った。

 2つ目は出場できなかった選手たちへの思い。自身は今年7月21日の第1次発表で北京パラ代表に選出され、7大会連続出場を決めた一方、夢舞台を逃した選手たちも大勢いる。「選ばれなかった選手というか…。その努力の姿を知っているので」。それまで力強かった声が震え、目には涙が浮かんだ。「出場できなかった選手の悔しい気持ちを(自分の)パフォーマンスで見せてあげたい。みんなが(パラリンピックに)行くことができたら幸せだと思うけど、行けなかった選手の努力を糧にして、これから頑張らないといけない」。確かな思いを胸に刻んだ。

 最後は若手選手たちへの継承。新田は自身の結果を追い求めつつ「競技全体を通じて誰かがメダルを獲得してくれたら」と日本チームとして表彰台を後押しする。そこには、18年平昌を終えてからの心境の変化として「選手として競技パフォーマンスを高めることも大切だが、自分より若い選手に自分の今持っている技術、考え方を伝えることを積極的にやるようにしてきた」という。ともに北京パラに出場する20歳の川除大輝(日立ソリューションズJSC)ら有望選手へ「伝えられるものも含めて(北京パラまで過ごす期間は)残りわずかな時間。思いの伝承」と、世代交代への願いも打ち明けた。

 今後は国内で調整を続ける。パラ本番3週間前をポイントに挙げ、「最終の仕上げの過ごし方が重要。1、2月でしっかりトレーニングしつつ、自分がどの状態になった時に調子が良いのかっていうのを見極めて日々を過ごしていけたら」。冬季パラリンピックを熟知する41歳は静かに闘志を燃やした。

 ◇新田 佳浩(にった・よしひろ)1980年(昭55)6月8日生まれ、岡山県出身の41歳。3歳の時に祖父の運転する稲刈り機に巻き込まれ、左腕を切断。17歳の時に98年長野大会でパラリンピック初出場。バンクーバー大会距離男子では2つの金メダルを獲得した。18年平昌大会は男子10キロクラシカル金、1・5キロスプリント銀メダル。日立ソリューションズ所属。

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2021年12月27日のニュース