状態上向きの萌寧&奈紗 立ちはだかる世界1位、リオ覇者 小田美岐専務理事が語るメダル争いの行方

[ 2021年8月4日 06:00 ]

記者会見する畑岡(左)と稲見
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 5年前のリオデジャネイロ五輪で112年ぶりに復活したゴルフ。前回の日本は、女子の野村敏京(28)が銅メダルに1打及ばす4位に入ったのが最高だった。今回はエースの畑岡奈紗(22)と伸び盛りのホープ稲見萌寧(22)に大きな期待が集まるが、メダルを争うライバルは前週の男子以上に強敵がそろう。その勝負の行方を日本女子プロゴルフ協会の小田美岐専務理事(62)が解説した。

 大会前の日本勢2人の状態は良さそうな印象です。稲見選手は前週の楽天スーパー・レディースで尻上がりに調子を上げ、最終日はベストスコアの66をマークして9位でフィニッシュしました。彼女の持ち味はショットの正確性。ティーショットもアイアンも本当に曲がりません。左手のアームターンを行わずに体の回転で打っていくタイプで、最近の米男子ツアーでよく見られるスイングをしています。ただ今週は連戦になるので、その影響がどの程度出るかが気になるところです。

 畑岡選手は今年の序盤は低迷していましたが、グリップをスクエアに変えてからショットが安定しました。7月のマラソン・クラシックでは初日に10アンダーの61を出して2年ぶりの米ツアー優勝を飾りました。勢いに乗って本番を迎えられるので、稲見選手とともに地の利を生かして結果を出してもらえればと期待しています。

 勝負の舞台となる霞ケ関CCは前週の男子と基本的に同じセッティングになります。フェアウエーの幅は22~23ヤードに絞られていますが、女子は男子ほどパワーがないので大きく曲げる選手は少ないでしょう。でも曲げてしまうとラフが深いのでやっかい。フェアウエーは起伏があり、うまくそこに落としてもなかなか平らなライからは打てません。グリーンもアンジュレーションがきつく、ピンの位置を振られるとスコアメークが難しくなりそうです。

 また、パー3は打ち上げのホールが一つもなく、ティーイングエリアからグリーン面が見えるため、ギリギリのところを狙いたくなります。そうするとミスも出やすくなる。ピンを狙うというより、反対にミスを誘われてしまうような設定です。ピンを切る位置も、通常の日本の試合では見られない傾斜の途中だったりするので、慣れていないと戸惑うかもしれません。

 メダル争いのライバルになりそうなのは韓国勢と世界ランク1位のネリー・コルダを擁する米国勢。ネリーは1メートル78の長身を生かした270ヤードを超える飛距離とアイアンの切れが武器。以前は試合中に感情をコントロールできず、自滅することもありましたが、最近はあまりカッカする場面がなくなりました。

 韓国勢は高真栄(コジニョン)と朴仁妃(パクインビ)が怖い存在。高真栄は1Wからパターまで死角のない選手。メジャー大会でも常に上位にいます。朴仁妃はリオ五輪の金メダリスト。米ツアーで20勝、メジャーでも7勝を挙げるなど獲れるタイトルは全て手にしていますが、五輪連覇は大きなモチベーションになっているはずです。

 また、全米女子オープンに勝ったフィリピン代表の笹生選手も有力なメダル候補です。世界ランク10位以内の選手が全員出場するので、いずれにしろハイレベルな戦いになるのは間違いありません。 (日本女子プロゴルフ協会専務理事)

◇小田 美岐(おだ・みき)1959年(昭34)4月5日生まれ、京都市出身の62歳。同志社大卒。82年にプロテスト合格。83年には日本プロスポーツ新人賞を受賞し、84年に美津濃ゴルフトーナメントでプロ初優勝。ツアー通算6勝。現在は日本女子プロゴルフ協会で専務理事を務め、テレビ解説者としても活躍。

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