五輪93年ぶり屈辱 “史上最速”男子短距離勢初戦突破ゼロ サニブラが飯塚が「何でこんなに遅いのか…」

[ 2021年8月4日 05:30 ]

東京五輪第12日陸上男子200メートル予選 ( 2021年8月3日    国立競技場 )

<男子200メートル予選>2組6着で敗退したサニブラウン(左)(撮影・会津 智海)
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 日本短距離陣が歴史的惨敗を喫した。男子200メートルでサニブラウン・ハキーム(22=タンブルウィードTC)ら日本勢3人が予選落ち。男子100メートルでも山県亮太(29=セイコー)ら3人が予選落ちで、2種目に代表を送り込んだ五輪で全員が“初戦敗退”となるのは1928年アムステルダム大会以来、93年ぶりとなった。

 夢のトラックで、サニブラウンがもがいていた。17年世界選手権7位の種目で、2組6位の21秒41。自己ベストから1秒33も遅れ、全47選手中44番目という屈辱のタイムで予選落ちを喫した。「何であんなに遅いのか分からない。最後の100メートルは、もはやジョギングくらいの遅さだった」。19年には100メートルで当時の日本記録9秒97をマーク。日本のトップを駆けてきた22歳が、五輪初レースで厳しい現実を突きつけられた。

 五輪3大会連続出場の飯塚は21秒02で1組6位、山下も20秒78の3組5位で日本勢は全員が準決勝に進めず。飯塚は「悔しいっすね。その気持ちでいっぱい。何でこんなに自分は遅いんだろう」と表情をゆがめた。7月31日の男子100メートルでも、9秒95の日本記録を持つ山県ら3人が予選落ち。100&200メートルに代表を送り込んだ大会で、全員が次のラウンドに進めないのは93年ぶりの屈辱だ。

 国立競技場を席巻しているのは海外勢だ。男子100メートルでは中国の蘇炳添が9秒83のアジア新記録をマークし決勝でも9秒98で6位に入った。この日は200メートル予選の後の男子400メートル障害では、ワーホルム(ノルウェー)が世界新で金メダル。高速トラックは明白だが日本のスプリンターは自己記録にすら近づけない。

 16年リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得した、400メートルリレーの予選はあす5日。山県、多田、小池の100メートル代表3人にリレー要員の桐生を加えた布陣が濃厚だが、残された時間で立て直すことはできるのか。歴代最速かつ最強だったはずの日本短距離陣が、猛烈な逆風にさらされている。(杉本 亮輔)

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