栃ノ心 苦しんで大関復帰「良かった」、鶴竜に注文相撲

[ 2019年5月26日 05:30 ]

大相撲夏場所14日目 ( 2019年5月25日    両国国技館 )

支度部屋で笑顔を見せる栃ノ心(撮影・荻原 浩人)
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 関脇・栃ノ心が苦しみ抜いた末に10勝目を挙げ、規定により1場所での大関復帰を果たした。鶴竜との結びの一番は注文相撲ではたき込み。「勝てて良かった」。勝利を確信しながら、物言いの末に行司軍配差し違えで敗れた13日目に涙を流した男に、ようやく笑顔が戻った。

 10日目に早々と2桁勝利に王手をかけたが、そこから3連敗を喫した。負傷を抱えている右膝に痛みが出て、10日目の取組後に治療院でたまっている水を抜いた。それで痛みは和らいだものの、代わりに「立ち合いが全然良くなかった。当たりと踏み込みが違った」と右足が出なくなった。鶴竜戦は「当たりにいくとまわしを取られるだろうから。ドキドキしたけど」と立ち合いで右に動いた。「悪いことをした」と苦笑いしたが、苦肉の策だった。

 1年前の夏場所後、3場所合計37勝という堂々の成績で大関に昇進したが、不運は新大関の昨年名古屋場所に待っていた。初黒星となった6日目の玉鷲戦で右足親指のじん帯を損傷して途中休場。その後も右太腿の肉離れなど、相次ぐ故障に見舞われ大関からの陥落を余儀なくされた。不安をかき消すのは稽古しかなかった。春巡業ではケガを抱えながら連日のように土俵に上がった。「3月(春場所)が終わってから、ずっと休んでない。それが(大関復帰に)つながったんじゃないか」とうなずいた。

 大関在位5場所では一度も2桁勝利がなかった。「白星が足りなかったから勝たないといけない。大関で頑張ります」。苦難を乗り越えた栃ノ心が看板力士として再出発する。

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