石原慎太郎さん死去から一夜 思い出の逗子で追悼式を、兄弟過ごした地で市民も涙

[ 2022年2月3日 05:30 ]

05年11月に「太陽の季節」文学記念碑除幕式を行った石原慎太郎さん(右から3人目)、式典に出席した俳優・舘ひろし(左から2人目)、石原伸晃氏(左)、徳重聡(右)
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 東京都知事と衆院議員を務めた作家の石原慎太郎さん(享年89)の死去から一夜明けた2日、弟の故石原裕次郎さんとともに一時期を過ごし、さまざまな作品の舞台となった神奈川県逗子市や葉山町の人々からも追悼の声が上がった。関係者らからは「逗子で追悼式を」との意向も出ている。

 逗子はかつて慎太郎さんの自宅があり、芥川賞を受賞した「太陽の季節」の舞台にもなった。受賞50年を記念した2005年には、逗子海岸に文学記念碑を建立。碑は慎太郎さん直筆の「太陽の季節 ここに始まる」の文字が刻まれ、岡本太郎さん制作のオブジェ「若い太陽」が配された。除幕式は俳優の舘ひろし(71)らが駆け付け、海岸がファン約8000人で埋め尽くされるにぎわいぶりだった。

 周辺は今も市民の憩いの場。この日は、花を手向ける市民の姿が見られた。設立の実行委員長を務めた逗子市の和田修芳さん(77)は「地域を盛り上げてくれた方ですので残念です」と悼んだ。

 もちろん慎太郎さんにとっても大切な場所だ。兄弟の同級生らは今も健在。慎太郎さんが立ち寄れば「元気?」と声が飛んだ。「来るとリラックスされたのではないでしょうか」(和田さん)という。当時の関係者からは「コロナが収まれば、節目に集まって何かやりたい」との声も上がっている。和田さんは「記念碑の前に集まって、石原さんをしのびたい」と追悼式の構想も明かした。

 また、映画「狂った果実」の撮影地となった葉山町の森戸神社(森戸大明神)には、慎太郎さんや石原プロが設立した「石原裕次郎記念碑」がある。海岸から500メートル沖には、慎太郎さんが中心となり設置した「裕次郎灯台」と呼ばれる葉山灯台も望める。

 慎太郎さんは生前、対談本の中で「隣に慎太郎記念碑を」との希望を語っていた。この日、裕次郎記念碑を訪れた60代男性は「実現すると、仲の良い兄弟の姿がより実感できそうですね」と期待。昭和のスター兄弟の碑が並んで海を眺める“聖地”が誕生する可能性もありそうだ。

 《書店に追悼コーナー》東京・池袋のジュンク堂書店では慎太郎さんの追悼コーナーが設置された。文芸書フロアの特設本棚に「天才」、「あるヤクザの生涯」など20作品約50冊がズラリ。2日までに「太陽の季節」は売れ切れた。30代男性は「読んだことがないけどニュースで知って興味を持った」と数冊に目を通していた。同書店はすでに人気作品を中心に計数百冊を発注。コーナーを拡大し1カ月以上継続する。また、通販大手アマゾンの本の売り上げで「弟」が1位にランクインした。

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2022年2月3日のニュース