澤井信一郎監督死去 83歳、「Wの悲劇」「時雨の記」「野菊の墓」など手掛ける

[ 2021年9月7日 05:30 ]

死去した澤井信一郎さん
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 「Wの悲劇」「時雨の記」などで知られる映画監督の澤井信一郎(さわい・しんいちろう)さんが3日午後7時5分、多臓器不全のため都内の病院で死去した。83歳。静岡県出身。葬儀は故人の遺志で、近親者による密葬で営まれる。喪主は妻郷子(きょうこ)さん。

 澤井さんは61年、東京外国語大卒業後に東映に入社。マキノ雅弘監督に師事し、81年、松田聖子の初主演映画「野菊の墓」で監督デビュー。84年、共同で脚本も兼ねた「Wの悲劇」で毎日映画コンクール日本映画大賞、日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した。

 アイドル映画から大人のラブストーリー、伝記映画まで幅広いジャンルで確かな演出力を発揮した。今年3月に行われた岡田裕介東映グループ元会長のお別れの会が、最後の公の場となった。

 郷子さんは「もう一度映画の現場に立つことを夢見ておりました」とし、「澤井の監督した作品をもう一度ご覧いただき、しのんでいただくのが何よりの供養になることと思います」と談話を寄せた。

 ▼三田佳子(「Wの悲劇」に出演)切磋琢磨(せっさたくま)した若い日々を思い出します。「Wの悲劇」で共に戦うことができたことは、私にとっても大きな誇りです。

 ▼松田聖子 慣れない私にあたたかくご指導いただきました。撮影の時、山野を一日中駆け回って疲れた私を、いつも励ましてくださいました。あの時の監督の優しい笑顔が忘れられません。

 ▼反町隆史(「蒼き狼 地果て海尽きるまで」に主演)4カ月にわたるモンゴルでの撮影のことは忘れられません。皆を鼓舞し、支えてくださった澤井監督の姿が強く心に残っています。

 ▼後藤久美子(「ラブ・ストーリーを君に」出演)温かく、厳しく、映画作りの魅力、作品に対する情熱を教えていただきました。監督の作品で映画デビューさせていただいたことをとても幸運に思います。

 ▼風間トオル(「わが愛の譜 滝廉太郎物語」に主演)ピアノを弾いたことのない私に1年近くレッスンをし、にこやかに、ある時は厳しく見守っていただきました。

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