千葉真一さん 野際陽子さんとの結婚秘話、長所でも欠点でもあった事業欲

[ 2021年8月20日 05:30 ]

千葉真一さん急死

72年、婚約発表した際の千葉真一さん(左)と野際陽子さん
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 【悼む】千葉真一とは1965年(昭40)からの付き合いだった。こちらは、駆け出し記者。彼はもう「柔道一代・講道館の鬼」など東映の若手ホープとしてスター街道をひた走っていた。千葉が「キイハンター」で共演した野際陽子と73年に結婚したが、2人の結婚をスクープしたのが一番の思い出だ。

 当時2人は東京の高級マンションのはしり「川口アパート」で暮らしていて、よく遊びに行った。だから、2人の結婚は身内の出来事のようにすんなり記事にできた。

 ギリシャのエーゲ海で2人っきりで結婚式を挙げ「愛と誠を誓い合いました。年はお互い堂々たるものですが、中身は未熟なもの同士ですので、いろいろ皆さまのご指導で少しでも爽やかな、そして何よりも和やかな家庭をつくりたいと思っています」との結婚報告の便りが届いた。

 彼の欠点でもあり、長所でもあるのが事業欲。とりわけ、映画製作者として異常なまでの執着を抱き、雄大な夢を抱いて猛進する。5年ほど前、東証一部上場の会社社長にハリウッドとの合作時代劇映画の話を持ち込んで、4億5000万円の融資を受けたが、東映京都撮影所で製作中にハリウッドから招へいした若手監督と衝突して、その監督を解任。自らメガホンを取ったのは良いが、予算はオーバーするわ、撮影が進まないわで、結局のところ8億円まで製作費がオーバー。映画はお蔵入り。その未完成フィルムは今でもハリウッドの倉庫で寝ていて、出資者の会社社長に損害を与える結果となった。

 定期的にLINEで近況報告をし合っていたが、6月に千葉から「俳優も健康保険を元いた会社で入れると聞いたが脇ちゃん東映の総務に打診してくれないか」というのが最後の交信となった。

 昨年12月に文化庁長官から「永年にわたり俳優として活躍するとともに後進の育成にも努め、我が国の芸能文化の振興に多大な貢献をした」と表彰されたと喜々として電話があったが、その時も相変わらず懐具合が寂しいとなげいていた。(スポニチOB、脇田巧彦)

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2021年8月20日のニュース