テレビ東京「私の夫は冷凍庫に眠っている」“愛”や“人”にもリアルに迫る

[ 2021年4月24日 19:53 ]

注目ドラマ・プロデューサーインタビュー(下)

白洲迅と白熱の演技を繰り広げている本仮屋ユイカ
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 話題騒然となっている本仮屋ユイカ(33)主演のテレビ東京ドラマ「私の夫は冷凍庫に眠っている」(土曜後11・25)。新設されたドラマ枠「サタドラ」の第1弾として今月10日にスタートした。

 同局の4月期改編には、報道番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」の1時間前倒しによる午後10時枠への移動と、これに伴う11時台の一新があった。この大掛かりな“引っ越し”が当初は注目されたが「サタドラ」も大きな目玉の一つだった。

 「新枠の第1弾なのに“プロパー社員”の企画じゃないっていうのが驚き」と指摘するのは民放関係者。今作の企画書を出し採用された佐々木梢プロデューサーは、同局の子会社「テレビ東京制作」の社員だ。

 昨年ヒットした同局ドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(通称・チェリまほ)も制作会社から派遣されたアシスタントプロデューサーによる企画だった。民放幹部は「たとえ新枠であっても、社員とか非社員とか関係なく面白い作品を選んでいる。しがらみにとらわれないテレ東らしい」と感心している。

 注目のサタドラ第1弾とあって、こだわりは色合いにも込められている。御法川修監督らの強い思いで実現。キャストによってイメージカラーを決め、衣装や登場シーンの背景などもその色を使用する。また、殺人のシーンでは赤みを帯びた画面にするなど、さまざまな色を編集で加える工夫もしている。

 イメージカラーは本仮屋演じる主人公は青、白洲迅(28)演じる主人公の夫は白と黒、主人公の母親(浅田美代子)は真っ白。主人公の向かいに住むミステリー作家(斉藤由貴)は「孔雀(くじゃく)」という役名通りカラフルな衣装を着用させている。佐々木プロデューサーは「キャラクターを色で強調し、心情も表れるように編集しています。日本では見たことがないような映像美にしています」と明かす。衝撃のシーンが目まぐるしく展開される中で、視聴者にとっては色も謎解きのヒントになりそうだ。

 佐々木プロデューサーは主人公について「ただの殺人者としてではなく、なぜ殺そうと思ったのか、一人の女性のドキュメンタリーのように描きました」と明かす。

 第1話では、主人公が夫を絞殺。遺体を冷凍庫に隠したはずなのに、なぜか翌日にその夫が帰ってきて、再び生活を始めることになる。この流れは同名小説の原作通りだが、ストーリーの結末やキャストのバックグラウンドなどは著者の許可を取って大幅に変えた。

 「殺したはずの夫がなぜ帰ってきたのか」という謎をひもといていく全6話。佐々木プロデューサーは「ラブサスペンス」と表現する。「主人公は自分なりの幸せを求めて行動を起こしていく。6話を通じて“自分の人生のために、ただただもがいて生きているだけ。それはみんな同じじゃないか”というものが視聴者に伝われば」。恐怖のシーンだけでなく、愛や人というものにリアルに迫った作品となっている。

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