大河「麒麟がくる」の悪人役・片岡鶴太郎 「顔の筋肉が生理で動く」

[ 2020年11月28日 09:30 ]

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で摂津晴門を演じる片岡鶴太郎(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で、幕府政所頭人・摂津晴門を演じる俳優の片岡鶴太郎(65)に話を聞いた。

 独特な演技だ。セリフに抑揚があり、時に歌っているようになる。

 「現代劇は日常会話の延長の中で演じます。でも、時代劇は現代劇のようにさらっと演じると物足りないのではないでしょうか。喜怒哀楽を如実に出したり、セリフの中に『語り』『歌い』を入れたりした方が、見ている人をその世界に引き込めるのではないかと思います」

 晴門の登場で物語の対立構造が鮮明になった。「守旧派」「悪」の晴門に対する「改革派」「善」の明智光秀(長谷川博己)と織田信長(染谷将太)。これまで比較的冷静だった光秀が感情をあらわにする場面も増えた。

 「晴門の色が出ることによって光秀の色が際立つ。脇にいる人はいろんな色を出した方が面白い。それまで光秀は感情を内に秘めて表に出す方ではなかったけれど、晴門が入ったことで怒りの表情が出てきたと思います」

 晴門に関して多くの文献が残っているわけではない。過去に演じた役者も少ない。役作りはほぼゼロからの出発だった。

 「この役をどう解釈し、どうデフォルメし、どうリアリティーを持たせるか、任せていただいきました。本人は自分が悪だとは思っていません。長年、幕府を支えてきたエリートで、幕府というシステムを守り抜こうとしている。邪魔をする者は排除しなくてはいけない。自分は正義だと考えている。初めてのリハーサルの時、演出の大原拓さんの前で実際にやってみて、だいたいの感じをつかみました」

 大河出演は1991年の「太平記」の北条高時役が最初で、今回で6度目。最後に2014年の「軍師官兵衛」で小寺政職を演じてから約6年が経過していた。

 「緊張感がありました。大河には主役級の人たちが集まって、ボクシングで言えば世界タイトルマッチ。今回はコロナ対策でリハーサルも限られていましたが、みなさんが仕上げて来ていて、長ぜりふなのに誰もNGを出さない。それぞれがトレーニングを重ねてリングに上がり、緊張感ある中でパンチを出し合う感じ。凄い戦いだと思います」

 コロナ禍で、台本を読み始めてから撮影まで3カ月近く空いたため、じっくりと人物像を具現化することができた。
 
 「役になり切るというより、自分が晴門の生理に同化していった。だから、信長の顔を見れば自然に嫌な顔になったし、将軍と会えば自然に手玉に取ろうとする顔になった。顔の筋肉が生理で動きました」

 筋肉が生理で動く…。あの独特な演技の奥には特殊なものがあるようだ。

 「キャリアの中でできるようになりました。『ヨーガ』をやるようになって、眼球を中の方に入れる動きをするようになり、筋肉が鍛えられた。ヨーガには呼吸法もあり、セリフのブレスも長くなった。ヨーガをやっていて、つくづく良かったと思います」

 見る人に強烈な印象を与える晴門。この役を演じたことは今後の役者生活にも少なからず影響を及ぼしそうだ。

 「最近は刑事役とか、まじめな役が多かったので、私の別の一面を見ていただけました。30年くらい前は説教強盗とか、アウトローの役をよくやっていた。最近はこういうご時勢もあって、悪役をやりにくくなっていますが、実は好きなので、オファーが来たらまた悪役に挑戦したいです」

 今後ますます、その個性的な芝居を見る機会が増えるに違いない。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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