新海誠監督 京アニ事件に「とても、いたましい事件」

[ 2019年7月19日 18:21 ]

3年ぶりの新作「天気の子」の初日舞台挨拶で登壇した新海誠監督
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 新海誠監督(46)の3年ぶりの新作アニメ「天気の子」が19日、公開初日を迎え、声優陣らと都内で舞台あいさつに登壇。18日に京都市内で発生したアニメ制作会社「京都アニメーション」の放火事件について触れ、「とても、いたましい事件」と言及した。

 30分間ほど新作について和やかに語った終了間際に、司会者から「最後にメッセージをお願いします」と求められると、新海監督は沈痛な表情に一変。「ちょうど公開の前に、とても、いたましい事件もありまして、どういう気持ちで初日に臨んだら良いのかなと思ったりもしていたんですけども…」と語り出した。

 そして「ここで、みなさんのお顔を見ることが出来て、やはり僕たちの仕事というのは、どういうことがあったとしてもエンターテインメントを作って表現することで自分たちや誰かを傷つける可能性もゼロではないけれど、怯(ひる)まずに、それをやり続けていくことが自分たちの役目であり、一番やりたいことなんだなと改めて思いました」と強調。新作も「楽しい映画を作ったつもりです。青空になるような映画を作ったつもりです」と結んだ。

 この日午前中にも日本テレビ「スッキリ」(月~金曜前8・00)でも「何かを代表して話す立場にない」とした上で、「(犠牲者は)お客さんに喜んでほしくて一枚でもよい絵を、少しでも美しい絵を描きたいと技を磨いてきた人たちだと思う。あまりにも理不尽」とコメント。「表現することにリスクがあるのだとしても、怯まずにエンターテインメントを作って、差し出してみていただき、笑顔になっていただいたり、お叱りを受けることがあっても、作品で返すことを繰り返すしかない。怯まずに作り続けるしかない」と語っていた。

 18日のツイッターでも「京都アニメーションの皆さま、どうかどうかご無事で」とつぶやいたあと「僕たちは、世界がすこしでも豊かに、わずかでも良くなることを願ってアニメを作っています。僕は今は映画のプロモーション期間であり、今夜0時からこの3年間の成果をようやくご覧いただけます。表現することに怯んでもいけないし、楽しんでほしいと心から思います。ただ、あまりにも酷すぎる事件です」と心境をつづっていた。 

 社会現象となった「君の名は。」以来の新作が完成したのは11日前の今月8日。ベールに包まれたまま封切られた。天候の調和が乱れていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が生き方を「選択」する物語。東京にやってきた家出少年が不思議な力を持つ少女と出会う。美しく、切なく描かれる二人の恋は、新たな時代を迎えるあらゆる世代、そして全世界へのメッセージとして描かれている。

 舞台挨拶には、約2000人のオーディションから主人公の声優に起用された醍醐虎汰朗(18)とヒロイン役の森七菜(17)に加え、吉柳咲良(15)、本田翼(27)、小栗旬(36)も出席した。

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