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ポニーリーグ

月刊ポニーリーグ2月号㊦ 変化球解禁は中学2年生から まずはチェンジアップ習得を

[ 2021年2月25日 08:55 ]

先進的な取り組みを続ける館林慶友

 「月刊ポニーリーグ2月号」は館林慶友外科病院の医師で協会常務理事CMOを務める古島弘三氏にインタビューした。じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)の権威で、館林慶友ポニーの代表でもある同氏が、故障予防の観点から球数制限導入の意義を語った。

 ――故障予防の観点から変化球についての考察は。
 「1年生の間は禁止しています。2年生でも試合で無理して変化球を投げなくていいと言っています。変化球の習得はまずチェンジアップからと考えています。指を抜いて投げる感覚が持てることで他の変化球を習得するときに役立つからです。腕の振りもストレートと同じになるのでケガもしにくい。スライダーやカットボールは中学生では肘を壊す一番の要因ですので試合では禁止しています。3年生になればカーブを許可します。まずはチェンジアップを投げられたら、他の球種もすぐにうまく投げられるから変化球は焦らなくていいと言っていま」

 ――球数制限の導入は指導者の意識改革にも期待できる。
 「球数制限することで選手の肘障害など気にしなかった指導者が気にするようになることもあるでしょう。制限を入れたら普段の投球練習から球数を考えて投げるようになると思いますし、障害既往率は低くなっていくでしょう。一生懸命野球の練習をがんばっているのに肘を痛めてしまうのが怖いのです。球数無制限の状態では、いい投手がどんどんケガで離脱していってしまいます。最後に残っていくのは小学校、中学校で投げる機会がたまたま少なかった選手です。成長期選手の肩ひじ障害はルールで大人が守ってあげる必要があります。他のスポーツでも成長期のスポーツ障害予防の観点から、タックルなしのタグラグビー、サッカーはヘディング禁止、試合時間の短縮化などルールでケガの発症を予防することです。また一方で、スポーツマンシップに基づくフェアプレーの精神もケガを予防させます。野球では、ファールで粘って球数を投げさせるとか、バントの構えで疲れさせるとか、球数制限の話が出たときに多くのフェアプレーとは程遠い議論が巻き起こりましたね。試合がつまらなくなるとか、勝てなくなるとか、選手ファーストの目線には全くなっていませんでした。これだけ障害が多い。今まで、何も対策をせずにきたからどんどんと少子化以上に野球人口が減っている。人数が減ったことで、低学年から試合に出ることになり、6年生と同じ負荷、同じ時間練習をして、まだ成長が未熟な時期からケガをしてしまって悪循環になっています。
 (続けて)
 世界標準的な考え方では、指導者は選手にケガをさせないために存在しているという立場です。それが第一でありすべてです。10年以上前から学童野球の指導者講習をやっているが、なかなか理解が乏しい方々もいらっしゃる。2、3割くらいの指導者は「そんなんじゃ勝てるわけない」という人がまだいる。一方で、子どもの野球障害について理解のある監督もたくさんいる。そのような良き指導者の立場を球数制限は守ってくれる。いい投球をしているとなかなか投手を交代できなくなってしまいますから。

 ――館林慶友の日曜日は3時間程度しか練習をしていない。
 「逆の発想から入っています。制限時間がないと時間的効率は悪くなります。3時間で効果的かつ効率的な練習を考えることが大事です。では、どうしたらいいでしょうかと。通常のシートノックでは、1人に飛んでくる球数なんて少ない。それよりはコロコロの手投げゴロで打球への入り方、足の運び方、どう捕球して、素早く投げるかのほうを重視しています。実際にはプレジャンプをしてボールに回り込んで捕球して素早く持ち替えて投げる動作を行いますが、ボールは強く投げていません。また、我々のキャッチボールは12~15分くらいにしています。まずは瞑想1分。そのあと声を出さずに集中して、1球1球投げることを意識するようにしています。暴投をすると投げる球が減ってしまいますから、集中して投げなければなりません。

 ――遠投について。
 「遠投は目的を考えて行わないと肩肘を痛めるリスクが高い練習です。私は小中学生には必要ない練習と思っています。動作解析の論文もありますが、遠投で距離を投げるために行うことは上に向かって投げることになり、体幹、股膝肩肘関節すべてにおいてマウンドから投げる時の地面との角度がかなり異なっています。その状態で強い球を投げることは関節に負担がかかりますので、肩を強くするという目的では絶対にやらない方がいいと思います。我々のチームでは、40メートルを5球程度5、6割の強度で、距離感を養うための練習としています。硬式ボールやソフトボールで、違う重さのボールを使っても距離感を出す感覚を養うために行っています。

 ――19年のチーム結成後、早くも成果を出している。
 「選手には今はまだ勝たなくていいと言っています。一人、一人みんなの技術が向上すれば勝手に勝つからねと。試合では勝っても負けても成功と失敗を繰り返す機会が多いことが一番成長すると考えています。我々のチームはすべてノーサイン、バントはしないで思いっきり打っていく。みんなホームラン狙ってもいいと言っています。投手のローテーションは投手ができる選手たちに任せていますし、打順も守備もすべて決めてもらっている。選手たちが考えたオーダーでやりくりしています。選手自身が考えることが成長につながります。考えられるようになっていくと、もうこちらからアドバスしなくても勝手にうまくなっていってしまいますね。それが成果でしょうか。そうなると指導者は楽できますよ。

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