ポニーリーグ

月刊ポニーリーグ12月号㊤ SUPER PONY ACTION PARTⅡ制定 大倉が野球道具贈呈

[ 2020年12月8日 10:00 ]

古島弘三常務理事CMO(左)と広沢理事長
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 一般社団法人日本ポニーベースボール協会がさる1日、都内で記者会見を行い、「SUPER PONY ACTION PART2」を制定したことを発表した。社会にとって有益な人材を送り出すべく、新たに主要5項目の施策を打ち出した。前編、後編(12月15日付掲載)と2回にわけて詳細にリポートする。

 他の中学硬式野球団体とは一線を画す、ポニーリーグらしい画期的な試みだった。昨年10月に開催された「SUPER PONY ACTION PART1」から1年あまり。第2弾となるPART2を制定した意図について、那須勇元事務総長は次のように言葉をつないだ。

 「PART1はグラウンドにおけることがメインでしたが、PART2はグラウンド外のことに目を向けています。子どもたちをしっかりと育て上げ、世にとって有益な人材を送り出すための指針を練り上げました」

 今回は新たに5項目の施策を立ち上げたが、中でも注目を集めるのが株式会社大倉による『ポニーファミリー サプライ用品給付制度』だ。協会の指導理念第8条にあるのが「選手は親から、学校、教師から預かった大切な宝物」という理念。那須事務総長が設立の経緯を明かした。

 「コロナ禍において経済自体がより厳しい状態になっていくであろう、と。ただ、野球が好きなんであれば、めいっぱい野球をしてもらいたい。野球が好きな子どもはポニーに集まれ、という考えが基盤です。その中で障壁があるのであれば取り除き、可能な限りサポートしていきたいという発想です」

 サポートを受けられる対象者は<1>世帯収入が400万円以下の者(独立行政法人・日本学生支援機構の給付型奨学金制度に定める家庭基準を参考)<2>障害等級1級および要介護者が同一世帯に居住する者とされ、毎年度2月末日までに証明書を提出。協賛社であるSSKの野球用品引換券が贈呈され、スパイク、グラブをそれぞれ給付される運びとなる。例外として中学1年生は証明書提出締め切りを5月末に設定。スパイクはすぐに支給されるが、グラブについては起用されるポジションのメドが立つであろう8~9月の支給を検討している。さらに、対象者が日本代表に選出された際には、ユニホームなどの購入品も贈呈するという。

 大倉の代表取締役会長を務める清滝静男氏は社会人野球の新日鉄堺、新日鉄君津、ミキハウスでプレー。近大付では2度夏の甲子園に出場し、3年時には主将も務めた。従来からアスリート支援にも積極的で、女子プロゴルフ・立浦葉由乃らとスポンサー契約を締結。来季からは新たに、ポニーリーグにも惜しみない支援をすることが決まった。

 球友を全力でサポートするのが、ポニーリーグが持つ魅力の一つだ。全日本選手権大会を控えた8月には、愛知稲沢・塩川大裕内野手の自宅が火事のため全焼。野球道具をはじめ全てを失った塩川は退部を申し出たが、佐治監督が「これまで一生懸命頑張ってきたじゃないか。一緒に行こう」と説得した。

 指揮官自ら新しい背番号28のユニホームを用意すると、保護者は野球道具一式を準備。一度はあきらめていた9月開催の全国大会に、塩川も加わった。大会期間中には那須事務総長による陣頭指揮のもと、大田スタジアムなどで義援金を呼びかけ。塩川は「多くの人に支えてもらった感謝を忘れません」とし、高校進学後も野球を続けていく意思を固めていた。

 子どもたちが大好きな野球に打ち込める環境を、協会が主導となってつくりあげる。これもまた、人材育成に欠かせない作業と言えるだろう。

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