ポニーリーグ

倉敷ポニーリバティーズ・森下監督の指導法 正しい「歩」「軸」「立」3つの基本で動作をスムーズに

[ 2023年1月10日 06:00 ]

森下監督の指導法で野球の基礎を学ぶ倉敷ポニーリバティーズの選手
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 【月刊ポニーリーグ12月号】

 倉敷ポニーリバティーズを特集する。一年でも長く野球を続けられる取り組みを目指す、チームの指導方針に迫った。

 こだわりが詰まった指導方針であることは一目瞭然だった。22年9月に新規加盟を果たした倉敷ポニーリバティーズ。練習開始のアップから、一つ一つの動きをおろそかにすることはない。森下祐輔監督は、その意図を端的に明かす。

 「運動能力を高めて、思い通りに体を動かせるようにしておきたい。アップでは一つ一つの動作をきっちりとイメージさせて、歩き方、姿勢をしっかりつくらせるよう心がけています」

 目の前の勝敗に一喜一憂するよりも、大切なことがある。森下監督が注力するのは<1>「正しい歩き方」を身につけさせること。正しく歩けるようになってくると、次の段階として<2>「体の軸」がつくられていく。体に一本の軸ができあがれば、今度は<3>「正しく立つ」ことができるようになる。この3つが備わるようになれば、打つ、投げる、捕るといった野球の基本動作がスムーズにできるようになるという算段だ。

 「長く野球を続けるためには、歩き方、姿勢、正しく立つということはとても大切です。面白おかしく、子供たちがあきないように、メニューを組むようにしています」

 選手たちの将来を見据える原点は、森下監督の野球人生にある。笠岡商(岡山)から岡山商大へ進学。投手として大学時代には140キロ台後半を計測し、社会人野球の田村コピーへ進んだ。ドラフト解禁となる同社2年目にはスカウトからも注目される存在にまで成長していたが、右肘の状態が芳しくなくベストパフォーマンスを発揮することはかなわなかった。指揮官は言う。

 「幼少期から投げすぎて、最後は右肘も変形していました。大学、社会人とも大事な時期に投げられないということを経験したことで、子供たちに“同じような思いをさせてはいけない”と考えています」

 豊富なキャリアを築いてきたが、自らの経験則だけに頼ることはない。選手たちの潜在能力を最大限に引き出すべく、オリックス・山岡らが師事する高島誠トレーナーによるトレーニング指導も実施。体づくりにも熱心に取り組んでおり、保護者を対象とした栄養指導の場も定期的にもうけている。

 小学部も活動しており、小中一貫のスタイル。グラウンドでの実技指導では、怒声、罵声の類いが一切ない。「野球を好きになってもらうことが大事ですからね」。生き生きと語る表情に、指導者としての優れた資質が感じられた。

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