ポニーリーグ

月刊ポニーリーグ6月号 広澤理事長が語る三つの魅力

[ 2020年7月22日 09:00 ]

笑顔を見せるポニーリーグの選手たち
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 スポニチは「月刊ポニーリーグ」と題し、今号から月1回のペースで中学硬式野球・ポニーリーグの特集記事を掲載する。子どもたちの成長を促し、その未来を守るために独自のルールを打ち出すポニー。理事長を務める広澤克実氏が、3つの魅力を語った。

 その視点は、常に「子どもたちの成長」のためにある。中学硬式野球にはボーイズ、シニア、ヤング、フレッシュを加えた5団体が存在するが、一線を画す制度づくりを続けるのがポニー。故障予防と無限の可能性を追求する姿勢に賛同者は増えつつあり、昨年4月から今年の3月にかけて11チームが新規加盟した。わずか2チームだった関西地区も7チームに増加。魅力ある組織づくりの先頭を走る広澤理事長が、3つの魅力を明かした。

 「非常に素晴らしいルールだと思います。全ての子どもたちにチャンスを与えることができる協会、それがポニーです。野球に限らずスポーツは、試合に出ないとうまくならない。日本にはスタンドからレギュラーを全力で応援するという美しい心もあるが、試合に出て覚えることはたくさんある。試合に出ないことには成功も失敗もできない。その中からうれしい、悔しい経験をたくさん積んでほしい」

 ポニーリーグが定める指導理念10カ条に「勝敗を競うことは手段であり目的ではない」という文言がある。勝利主義は掲げても、勝利至上主義はよしとしない。そんな理念に基づき、1人でも多くの選手に出場機会を与えるための独自ルールが<1>だ。先発出場選手に限り代打や代走などで一度ベンチへ退いても、再び出場できる(投手の再登板を除く)。12人からチームの結成を認めており、部員数が多ければ同一チームから複数での大会エントリーも認められている。

 「試合に出場させる以上は子どもたちをケガから守らなければなりません。いろんな知恵を出し合ってケガをさせないため最善の策を考える。その一つが球数制限。もう一つが低反発の金属バットです。実はライナーを受けてケガをしているピッチャーはたくさんいる。日本のバットは飛びすぎてしまう。あの金本ですら甲子園の浜風で戻されたのが、高校野球では右バッターがそのライトへ放り込む。ポニーは国際ルールにのっとった低反発を使うことで子どもたちを危険から守り、ケガを防止します」

 科学的データに基づいた球数制限は特徴の一つとして知られているが、見逃してはならないのが<2>だ。投手や野手を不慮の事故から守る側面だけではなく、副次的に打者の技術向上にも期待が持てる。日本製のバットに比べ飛距離や打球速度が劣るのは、真芯で捉えなければ打球が弱くなるからだ。「どうすれば、真芯で打てるのかを、子どもたちは考えるようになる」。さらに視野を広げれば、打ち損じのゴロの勢いは弱くなってしまうため、野手は自然と足を使って捕球する。攻守両面でのレベルアップを促すだけではなく、安打数が減れば投手の球数も減少。つまり、低反発バットの導入はさまざまな相乗効果があるというわけだ。


 「あまり知られていないことだが、メジャーリーガーの7割がポニーの出身。日本の中学硬式野球は細分化されているが、アメリカではポニーが主流。まず、そのことを知ってほしい」

 新型コロナウイルスの感染拡大により8月に予定されていた日米親善野球は中止となったが、今回は日本がホストとして米国代表を受け入れるはずだった。関西でも3泊4日の行程が組まれており、親善試合や歓迎セレモニー、観光が予定されていた。隔年で日米を行き来しており、希望すれば米国でのホームステイも経験できる。中学球児にとっては得がたい体験をできるのも、ポニーならでは。日本選抜に選出されればアジア大会、アメリカで行われる世界大会にも出場できる門戸が開かれている。新たなチャレンジの場としては、これ以上ない舞台が用意されていると言えるだろう。

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