メッツ千賀 本拠地と敵地で投球が変わるのか?打線のアプローチに影響されるのか?

[ 2023年6月2日 11:31 ]

メッツの千賀滉大(AP)
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 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のティム・ブリットン記者が千賀滉大投手(30)について興味深い分析をしている。

 千賀は5月30日(日本時間同31日)本拠地シティフィールドのフィリーズ戦で7回1安打無失点9奪三振の好投。これで本拠地での通算防御率が1・20、敵地では6・12となった。

 この極端な開きについて、本人は試合後「長い移動というところに対して、自分がもう少しやらなくちゃいけないところがあるのかなと思っている部分と、あとはここに熱いファンがたくさん来てくれているので、その前でやられたくないなという気持ちが強いのもあるのかなと思います」と説明している。

 これに対しブリットン記者はフィリーズのアプローチに着目している。対戦前、フィリーズはボール球を振ってくる確率がホワイトソックスに次いでメジャーで2番目に高い打線だった。一方で千賀はボールゾーンに投げる確率が比較的高い投手。彼よりもボールゾーンに投げる投手は8人だけだ。フィリーズ戦、千賀は100球中ストライクゾーンに42球投げた。それ以前の36・5%よりも高いゾーン率だった。しかもほとんどが直球。本人も「質の良い真っ直ぐを放れましたし、ストライクをたくさん先行することができたことがよかったんじゃないかなと思います」と話している。

 カウントで有利に立ち、追い込み、最後はボールゾーンの球で討ち取った。これまでで最多の22個の空振りを奪ったが、11個がストライクゾーンより下に行った球だった。フォークは全部で29球投げたが、うちストライクゾーンに投げたのは8球だけ。それでもフィリーズ打線は18度振って、その内12度が空振りだった。

 4回にスライダーをとらえ、本塁打性の大飛球を放ったニック・カステラノスは「(千賀は)直球とスプリットをうまく使い分ける。直球は特に高めを狙って投げる時は浮き上がってくる感じ。直球を打つにはその軌道に合わせてバットを出さないといけない。しかしながらそれではスプリットの軌道に合わせられない。バットが上を通ってしまう。しかし、スプリットに合わせると直球を打てない。ボールの下にバットが行ってしまう」。メッツのバック・ショーウォルター監督は「両方ともカバーすることはできない」と言う。

 ブリットン記者のポイントは相手がアグレッシブにどんどん振ってくるチームか、ストライクゾーンを見極め辛抱強くアプローチしてくるチームかで、結果が違っているということ。

 千賀はここまでアグレッシブなフィリーズ、ロッキーズ、レイズは抑えているが、一方で辛抱強いレッズに自責点5、ジャイアンツに自責点4、カブスに自責点3とやられている。フィリーズはボールゾーンの球の43%を振った。次の登板は敵地でのブレーブス戦。積極的に振ってくるチームだ。敵地は不利だが、積極的に振ってくるチームは相性が良い。果たしてどんなピッチングになるのか。ナ・リーグ東地区で首位争いをするチーム相手でとても重要な試合だ。

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