ヤクルト・村上 連敗12で止める3戦ぶり10号2ラン「久しぶりに勝てて凄く良かった」

[ 2023年6月2日 05:30 ]

交流戦   ヤクルト5―0日本ハム ( 2023年6月1日    エスコンF )

<日・ヤ>3回、2ランを放ち川端(左)と喜ぶ村上(撮影・高橋 茂夫)
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 ヤクルト・村上宗隆内野手(23)が1日、悪夢の連敗を「12」で止めた。日本ハム戦の初回に決勝の先制左前適時打を放ち、3回には3試合ぶりとなる10号2ランで続いた。3打点を挙げる主砲の活躍で、5月14日の中日戦以来となる白星をつかんだ。リーグ2連覇中のチームは5月は6勝17敗1分けと苦しんだが、月が変わって巻き返しへの一歩を踏み出した。

 三塁ベースを回って3度、両手を叩いた。村上が長い、長いトンネルの出口へ導く一発。左翼席へライナーで突き刺した打球に思わず感情があふれ出た。

 「次につなぐ気持ちで粘って打つことだけを考えた。久しぶりに勝てて凄く良かった」

 1―0の3回1死一塁。加藤貴の外角カットボールを逆らわずに捉えた。3戦ぶりの10号2ランで5年連続2桁本塁打に到達。初回には決勝の先制左前適時打を放ち、激しくガッツポーズをした。主砲が3打点で18日ぶりの勝利に導いた。

 リーグ3連覇を狙う王者は、前夜に12連敗で3年ぶりの単独最下位に転落した。しかし全て3点差以内。連敗中も村上は「手も足も出ずに負けた試合はそうなかった」と下を向くことはなく、アップ中から声を出して盛り上げ続けた。本来の姿を取り戻すために早出で打撃練習する姿もあった。

 チームに新型コロナの集団感染が襲った昨年7月には、主力を欠く中で孤軍奮闘するも6連敗。離脱していた高津監督に電話で「僕は打てなくてもいい。チームが勝てないのがしんどいです」と打ち明けた。1年前には「そんな泣き言を言うんじゃない」と激励した指揮官は、「彼は決して弱音を吐いたりしない」と今では心身共に立派な4番へと成長した23歳に、変わらぬ信頼を置き続けた。

 試合前には前選手会長の中村の呼びかけで選手全員でミーティングを行った。中村、山田と声を発した後、野手最年長41歳の青木が「心のスクラムを組もう!」と鼓舞。チームが心を一つにした。その思いをバットに乗せていたからこそ、珍しく村上も塁上で感情があふれ出た。「みんな口には出さなかったけれど、しんどい時間を過ごしたと思う。若い人も、ベテランも、外国人も含めて、みんな成長したと思う」と高津監督。連敗中は「寝られないですよ、そりゃ」と苦笑いした。北の大地で長い夜が明けた。V3を諦めるのはまだ早い。(青森 正宣)

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