オリ・舜平大 無傷5連勝“球界の父”中嶋監督に200勝プレゼント「本当に野球がやりやすい」

[ 2023年6月2日 05:45 ]

交流戦   オリックス9―2広島 ( 2023年6月1日    京セラD )

<オ・広>3回、韮沢を三振に討ち取りガッツポーズを決める山下(撮影・後藤 正志)
Photo By スポニチ

 最高の「孝行息子」だ。オリックス・山下舜平大(20)が1日の広島戦で6回4安打1失点(自責0)で5勝目。プロ初登板から救援経験なしで5連勝を飾ったのは球団史上初めてとなった。この勝利で今季の開幕投手に指名してくれた中嶋聡監督(54)の通算200勝目をプレゼント。昨季日本一指揮官の秘蔵っ子のポテンシャルは計り知れない。

 指揮官の節目に花を添えたことを知らされると山下は「本当ですか!?」と初々しく笑った。マウンド上では打者を圧倒するようなオーラを漂わせても、普段はあどけなさが残る20歳の好青年。父親のような監督に、感謝の言葉を並べた。

 「本当にむちゃくちゃいい、いいって言ったら変なんですけど、野球をやりやすい環境をつくってくださる監督なんで。監督だからびびる、みたいなのは全くなく。練習中から気さくにコミュニケーションを取ってくださる。本当に野球がやりやすいです、若い自分でも」

 この日の投球自体には「パッとしない内容だった」と不満顔。カーブ、フォークという変化球の精度がイマイチで、4回には失策と暴投などで1死三塁を招き、坂倉に右前先制打を許した。ただ、5回に味方が逆転すると、自身も失点後は安定感を取り戻し、終わってみれば6回を自責点0。先発の役割をしっかりと果たした。

 昨季までの2年間は1軍未登板も、今季は中嶋監督に開幕投手に大抜てきされた。新人以外でプロ初登板が開幕戦なのはプロ野球史上初。山本、宮城らが第5回WBCに参加した背景もあったが、それだけの大器と認められているからこそだ。初登板も開幕投手も緊張度はマックス。「なら、一緒にやっちゃった方がいい」という指揮官の親心もあった。昨年のポストシーズンも、登板こそなかったものの将来を見据えてベンチ入り。まさに中嶋監督の“秘蔵っ子”だ。

 397試合での通算200勝は球団歴代監督で3番目のスピード達成。「価値のあるものなのか、いやよく分かんないっすけど。選手のおかげだと思ってますし、スタッフのおかげだと思ってますし、別に僕は関係ないと思うんですけどね」。“らしい”コメントを残した中嶋監督にとっては、すくすくと育つ大器の5勝目の方がうれしかったのだろう。(山添 晴治)

 ◇山下 舜平大(やました・しゅんぺいた)2002年(平14)7月16日生まれ、福岡県出身の20歳。福岡大大濠では1年秋からベンチ入りし、3年夏は福岡県代替大会の地区準優勝。20年ドラフト1位でオリックス入り。今季3月31日の開幕戦で1軍初登板初先発。1メートル90、98キロ。右投げ右打ち。

 <球団史上初デビューから全て先発で無傷5連勝>○…山下(オ)がプロ初登板から無傷の5連勝。オリックスの投手では57、58年の西田稔6連勝をはじめ、59年安藤治久、00年戎信行、07、08年の小松聖の各5連勝に次ぐ15年ぶり5人目。山下はデビューから7試合すべて先発登板。救援経験なしでの達成は山下が初めて。

 <球団3番目のスピード達成>○…オリックス・中嶋監督が1日の広島戦勝利で、監督代行を務めた20年を含む監督通算勝利が200勝に到達。オリックスの監督では前身の阪急時代を含めて7人目。397試合目は96年仰木彬監督の355試合、76年上田利治監督の374試合に次いで3番目のスピード到達となった。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年6月2日のニュース