ロッテ・朗希は“魔フォーク使い” マリンの風“操り”11奪三振で今季初勝利

[ 2023年4月7日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6-1日本ハム ( 2023年4月6日    ZOZOマリン )

<ロ・日>初回、帽子を飛ばしながら投げる佐々木朗(撮影・篠原 岳夫)
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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンの世界一に貢献したロッテ・佐々木朗希投手(21)が6日、日本ハムをわずか1安打に抑えて6回無失点で今季初勝利を挙げた。最大風速14メートルの強風を逆手にさえたフォークで10三振を奪うなど11奪三振。公式戦自己最速タイの164キロも計測するなど今季初登板で快投を見せ、チームを3連勝に導いた。

 ジャスト80球目。146キロのフォークで11個目の空振り三振。黄色いグラブをバシッと叩いた佐々木朗が、ユニホームをたなびかせながら悠然とベンチへ向かった。わずか1安打で6回無失点。ほぼ完璧な投球で、プロ4年目で初めてのシーズン初戦での白星を手にした。

 「1回に先制点をもらったので、それを守ることだけを考えた。(強風で)難しかったんですけど、途中から自分の中で良い形を見つけ、手探りの中でもいい投球ができた」

 これを「手探り」というのが恐ろしい。悪条件を克服するどころか、有効利用し好投に結びつけた。ZOZOマリン特有の海からの強風。初回、投げ終わって自身の帽子が飛ばされるほどの風は、この日最大14メートルで左翼から本塁方向へ吹いていた。投手にとってはバックネット側の壁などに当たってはね返る向かい風。風を受けてブレーキがかかり落差が大きくなったのが、フォークだった。

 5連続を含む11奪三振のうち、10個の決め球がフォーク。強風の影響でややスライダー気味に変化した宝刀を、リードした松川は「真っすぐが伸びていたし、フォークは“フォースラ”みたいで良い感じでした」と振り返った。滑りやすい大リーグ公式球を使用したWBCでは抜ける場面もあったが、NPB球に戻って制球も抜群だった。

 直球もシーズン自己最速の164キロを計測し無四球。立ち上がりこそ高めに浮くこともあったが、2回以降はやや出力をセーブしてコントロールした。吉井監督は「2回以降は少し力を抜いていたと思うんですけど、その辺のセンスというか、器用さはさすが」と4年目でさらに進化した姿に舌を巻いた。

 プロ入り後、コロナ下で禁止されていた声出し応援が、今季解禁。お立ち台ではファンからの大歓声を初めて一身に浴びた。「最初、佐々木コールだったので、誰のことなのかな?と思ったんですけど、途中から自分のことだなと思って…ありがとうございます」と笑顔。「僕は朗希の方が呼ばれ慣れています」と“朗希コール”を何度も浴びるための23年のスタートを切った。(大内 辰祐)

 ≪軒並み数値上昇≫佐々木朗のフォークの数値は年々、向上している。この日は28球。1軍デビューした21年と比較すると平均球速は4.2キロ、空振り率は31.8%、ストライク率は15.1%上回った。22年は全1804球のうち604球がフォークで、空振り率は29.6%。同球種を600球以上投げた投手の中では、中日・高橋宏の31.4%に次ぐ12球団2位の高い空振り率だった。

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2023年4月7日のニュース