雨が味方!!広島・新井監督 開幕5戦目でやっと「うれしい」待望初勝利 マツダ通算500勝も飾った

[ 2023年4月7日 06:30 ]

セ・リーグ   広島3―0阪神 ( 2023年4月6日    マツダ )

<広・神>降雨コールドで監督初勝利を挙げ、雨が降りしきる中で笑顔を見せる新井監督(左)(撮影・北條 貴史)
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 ついに歓喜の時が訪れた。広島は6日、阪神に6回表降雨コールドゲームの3―0で快勝。マツダスタジアム通算500勝を飾り、新井貴浩監督(46)は開幕5試合目にして初勝利を挙げた。スライド先発の遠藤が5回0/3を3安打零封。秋山は中前先制打、デビッドソンは左中間へ2号2ランを放ち、新生・新井カープの核となる選手たちが投打で門出に花を添えた。

 この瞬間を待っていた。21分間の中断を経て雨脚が強まった6回表無死でコールドゲームが告げられると、広島ベンチは歓喜に沸いた。開幕5戦目でつかんだ初勝利、そして本拠地通算500勝。新井監督は節目のウイニングボールを鈴木清明球団本部長に贈り、笑顔の会見で安堵(あんど)した。

 「うれしいし、ホッとした。選手の力はこんなもんじゃないと分かっているので、僕自身は慌てることはなかった。ただファンに早く1勝を届けたい。その気持ちだけでした」

 負ければ1977年の6連敗(1分け)以来となる開幕5連敗。雨の中、信じる選手たちが躍動した。ベテラン秋山が、大砲デビッドソンが得点を刻むと、進境著しい遠藤はマウンド上で粘りに粘る。黒星が続いてもナインは常に懸命だった。

 「選手みんなの表情や姿勢から、何とかしたい、勝ちたい…という思いが伝わってきていた。そこは全く心配していなかった」

 昨秋の某日。新井監督は、後に球団アドバイザーに就く黒田博樹氏とともに、広島市内で一席設けて佐々岡真司前監督を慰労した。就任直後と辞任直後。異例で迅速な振る舞いに、新監督の心根が表れる。酒席をともにし、思いを受け継ぐ決意を新たにした。

 「チームは3連覇からの過渡期。難しい時期に監督を引き受けられ、苦しかったと思うんです。でも、若い選手を我慢して起用し、種をまかれた。花を咲かせないといけない」

 マネジメントの根幹を成すのは、一過性に終わらない近未来につながるチームづくりだ。現役を一緒に戦い、リーグ3連覇(16~18年)の原動力となった面々は年輪を刻んだ。新陳代謝が求められる過渡期。まいた種が芽吹くのを辛抱強く待ち、大きく育てる。

 「一本のヒットを打つ、一人の打者を打ち取る。それがどれほど大変か」。自分は下手だったと自覚し、誠実に選手と向き合う。個々が花を咲かせられるよう深く観察し、親身に下支えする。今季初勝利に貢献した主力勢と若い力の融合。それこそが最大の使命だ。

 「一本のヒットを打つ、一人の打者を打ち取るには準備と努力がいる。それと同じで一つ勝つって難しいと感じた。本拠地501勝目を目指して、またベストを尽くしたい」

 現役時代がそうだったように苦難があってもくじけない。栄光へ、新生・新井カープが一歩を踏み出した。(江尾 卓也)

 ○…広島は6回表無死降雨コールドで今季初勝利。2リーグ制以降、9回未満のコールドゲームでシーズン初勝利は、1951年4月8日の毎日(○8―3大映=7回終了日没)、53年3月23日の東急(○6―4毎日=7回終了降雨)に次いで70年ぶり3度目。セ・リーグでは今回の広島が初めてだ。新井新監督にとっても初勝利となったが、コールド決着で監督初勝利も初めて。

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