天理・大城君 ちょうど1年前に他界した大好きな祖母と“ともに”聖地に帰ってきた

[ 2022年8月9日 04:00 ]

第104回全国高校野球選手権大会第3日・1回戦   天理2ー1山梨学院 ( 2022年8月8日    甲子園 )

<天理・山梨学院>3番・レフトでスタメン出場した天理・大城(撮影・岸 良祐)
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 【いっちーの届け夏エール】たくさん泣いたのはちょうど1年前の8月8日でした。天理の大城志琉(しりゅう)君は、約束の場所に大切な人を連れて戻って来ました。

 実は大のおばあちゃん子でした。小学3年で野球を始めてから、野球用具は全て祖母・平田恵子さんがそろえてくれました。奈良から遠く離れた佐賀で、いつもプレーの動画を見て、手紙を送ってくれました。「ナイスバッティングね!」。祖母の言葉は何よりの原動力でした。

 しかし昨夏、新型コロナウイルスに感染し、一時回復も肺炎で他界。「必ず甲子園に連れて行くね!」。約束を果たせなかった悲しみは、バットを振る力に変えました。

 運命に導かれた命日の山梨学院戦。「特等席で見てくれていると思います」と遺骨をポケットに忍ばせ、打席に入るたびに空を見上げました。「力を貸してください」。グラブには“一歩ずつ一歩ずつ”の文字。恵子さんが最後に贈ってくれた宝物です。苦しいときも魔法の言葉で前向きになれました。毎朝欠かさないごみ拾いは、試合当日も30分間行う好青年。次戦では大好きなおばあちゃんに初ヒットを届けます。

 ◇市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー兼ピラティスインストラクター。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」受賞。昨年から早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に在学し、野球選手の障害予防について研究中。

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2022年8月9日のニュース